[Analysis]

“SAMURAI” SOFTWAREの逆襲

2003/02/04

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 日本製ソフトウェアの技術水準は、米国よりも低いのだろうか? 何年か前にこのテーマを取材した時に聞いたのは、大学における基礎研究のつたなさを要因として指摘し、結果的に日本は米国を追随する歴史を歩んできたのだ、という声だった。

 米国の大学の創立に関連する文献を読むと、確かに日本のそれとはまったく違うことを認識させられる。日本のソフトウェア技術は、工学系の傍流として研究され続けてきた歴史がある。一方で、米国では一貫して“情報科学”の分野で独立した学問としての基礎研究の積み重ねがあった。この違いが、日本と米国の違いを生み出しているというわけだ。異論も多々あるだろうが、1つの要因としては納得できる。

 しかし、最近、米国主導の流れに果敢に挑む日本人ソフトウェア開発者の姿を見る。トロンプロジェクトをけん引する東京大学の坂村健教授は、物体にIDを付与することでユビキタス環境を生み出そうとするユビキタスIDプロジェクトを進行中で、「この技術はまぎれもなく世界初だ」と豪語する。XMLのスキーマ言語「Relax」を開発した村田真氏も、標準機関W3Cに真っ向から挑戦状を叩きつける。イスラエル製ソフトの技術を応用しているとはいえ、YAPPAの代表取締役 伊藤正裕氏はWeb3DCG市場で世界標準を目指そうと奮闘している。年齢を話題にされるのを嫌うが、彼はまだ若干19歳である。

 このような人々を見ると、日本のソフトウェア開発技術は捨てたものじゃない、と思うのだ。

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