[Analysis]

チェスの世界チャンピオンと戦ったノートPC

2003/02/11

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 チェスの世界ラインキングのトッププレーヤー、ゲリー・カスパロフ氏が再び、コンピュータの挑戦を受けた。カスパロフ氏に挑んだのはイスラエルのプログラマが開発したチェスソフト、「Deep Junior」。両者は1月26日の初戦から譲らず、2月7日まで6ゲームを戦い、両者1勝1敗4分の引き分けとなった。

 カスパロフ氏は1997年にIBMがチェス用に開発したコンピュータ、「Deep Blue」と対決。その際にはカスパロフ氏が敗れている。今回、引き分けに持ち込んだことで、カスパロフ氏は何とか面目を保ったといえるだろう。

 Deep BlueはIBMのスーパーコンピュータだったが、カスパロフ氏が今回対戦したDeep Juniorは国内で2万円程度で購入できるプログラム。Windows OSで動作する。Deep Blueの重さ1.4トンに対して、Deep JuniorはノートPCで動作するという身軽さだ。それでも1秒間に300万手を読む能力があるという。

 カスパロフ氏がDeepBlueに敗れた6年前には、「コンピュータが人類を超えた」などの意見がそこかしこから聞こえてきた。だが、今回はDeep Juniorが普通のPCで使っているのと同じようなプログラムであっただけに、プログラムの内容を冷静に評価する意見が大勢だったようだ。人類対コンピュータという二項対立はもう飽きられてしまったのだろう。

 もっとも、エンタープライズ業界を振り返ると「自律(オートノミック)コンピューティング」や「仮想化」など、人類に並び、乗り越える性能や機能を目指すコンピュータの開発が活発だ。自律したコンピュータネットワークの中で、人類が何をすべきか? そんなことも考える必要が出てくるかもしれない。コンピュータネットワークの中で、人類がいかにコンピュータの作業を邪魔せず、荷物にならないかが問われるようになるだろう。

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