[Analysis]
新Acrobatの意味を考えてみた
2003/05/20
アドビ システムズが5月15日に行った「Acrobat 6.0」の発表会見を聞きながら、オフィスが完全にペーパーレスになる日は遠いな、とあらためて思った。
というのも、新しいAcorbatは文書ベースのビジネススタイルを変えることなく、フローだけを電子化して効率を上げることができるからだ。文書のレイアウトを保ったままで電子文書にできるのはもちろん、電子メールを使って、担当者間で文書のレビューが可能だ。日本のビジネスの象徴ともいえる“印鑑”を押すこともできる。それぞれの作業は電子化で効率化されているが、ビジネススタイルは何も変える必要がないのではないか。
アドビによると、PDFの閲覧ツール、「Adobe Reader」(旧Acrobat Reader)は世界で5億回、ダウンロード配布されているという。国内でも全国の都道府県WebサイトがPDF文書を利用、中央官庁などでも広く使われている。企業が決算内容などをWebサイトで発表する場合もPDF文書を使うことが多い。文書ベースのビジネススタイルを大きく変化させることなく、そのアウトプットだけを電子化できるのがPDFの特徴だ。
米アドビ システムズのePaperソリューションズ アドビ アクロバット プロダクト マネジメント ディレクター サラ L. ローゼンバーム(Sarah L. Rosenbaum)氏は、「日本は面と向かって、人と人が会うことを重視する」とインタビューで述べた。「文書処理では米国の方が電子的に行っている」というのだ。
しかし、アドビが今春から本格化させたPDFベースのサーバソリューションは企業のビジネススタイル自体を変化させる可能性を持つ。新たに発表された「Form Designer」などのサーバ製品を使えば、PDFやXMLに対応した電子フォームを作ることができる。収集した電子文書はXMLデータとして扱うことが可能。文書ベースだったビジネスプロセスが企業の基幹システムにつながる可能性がある。
もちろん、ペーパーレスのオフィスがベストだとは思わない。重要なのはビジネスプロセスを効率化させることだろう。アドビのサーバソリューションは、そのためのツールとして有効だと思えるのだが、どうだろうか。
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