[Analysis]
朝日を浴びるUML
2003/08/05
7月30日付の朝日新聞朝刊には驚いた。経済面で「“共通言語”導入の動き」「プログラム設計に“UML”」「障害回避に威力」などの見出しが並び、UML(Unified Modeling Language)を紹介していたのだ。ソフト開発のモデリング言語でエンジニアにしか関係ないと思われるUMLを、一般紙がページを大きく割いて紹介するのは極めて異例ではないだろうか。
朝日新聞では、UMLを「システムを支えるプログラムの設計書をだれが見ても分かるようにし、円滑に運営するための取り組み」と紹介。「設計書の表記方法を統一する」ことで情報システムの障害を防止できるとし、「11月からは(OMG:Object Management Groupが)125カ国で定期的にUMLの資格試験を実施する」とまとめていた。OMG会長兼CEOのリチャード・ソーリー氏のインタビューも掲載し、「(UMLで)設計書を統一すれば、システム統合が簡単になる」との発言を引き出した。
記事ではUMLを単にソフト開発のモデリング言語と、とらえるのではなく、システム開発やビジネスプロセスの効率化、システム統合のための“共通言語”として紹介している。金融機関や航空管制システムなどで頻出するシステムトラブルを背景に、UMLを使ってシステムを開発することで信頼性が向上する、というのが記事の狙いといえる。
UMLの認知が広がることはエンジニアにとって基本的に喜ばしいことだ。UMLが一般紙に取り上げられることで社会的認知が広がり、UMLの導入がスムーズになるだろう。しかし、逆の見方をすれば、一般紙が裏方的な働きをするUMLを取り上げざるを得ないほど、ITシステムの社会的信頼度が低くなっているということだ。UMLの露出増加は、システムの品質向上という課題をエンジニアに突きつけたといってもいいのではないか。
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