[Analysis]

カタカナなしでITを説明できますか

2003/08/12

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 国立国語研究所は8月5日、外来語の分かりやすい言い換え例として52語の中間案を発表した。官庁の白書や新聞に登場した言葉から理解度が低い言葉を選択し、分かりにくい言葉については言い換え案を提案している。ITビジネスに関連する言葉では、ユビキタスが「時空自在」、ログインが「接続開始」などだ。以下に代表的な言い換え例を紹介しよう。

 日本語に言い換えた場合にすんなりくる言葉もあるし、違和感を覚える言葉もあるというのが正直な感想だ。ユビキタス→時空自在などは日本語として意味が通るのだろうか。マネジメント→管理、リアルタイム→即時のように、言い換えられることで基の英語の意味がそぎ落とされることもあるようだ。

 しかし、分かりにくいカタカナ語を日本語に言い換えて、その概念を分かってもらおうという試みは全体として有益といえるだろう。メディアも含めてIT業界が一般のユーザーに対して、分かりやすく説明する努力を怠り、カタカナ語を押し付けてきたというのは事実と言っていいだろう。だからといって、すべてのカタカナ語を言い換えるというのも極論だ。分かりやすい言葉は言い換えずとも、自然に残っていく。

 ところで翻ってみて、エンジニアや顧客、パートナーとの間で使われる言葉は分かりやすいだろうか。「マネジメント」という言葉に対して、お互いが別々の意味で定義しているという不幸なことになっていないか。何気なく使っていること言葉でも、使う場所や場面によって意味がずれてしまうことはよくある。自戒の念をこめて書けば、言葉を慎重に扱うこと、これがコミュニケーションの基本になるだろう。

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