[Analysis]
闇に包まれるソフトウェア開発の現場
2003/09/09

地球、月、太陽の3天体が一直線に並んだ時、「日食」「月食」が見られる。真中に月が入ると「日食」、地球が入ると「月食」だ。頻繁に見られるものではないし、まして「皆既日食」となるとごく限られた地域でしか見ることは叶わない。
最近、開発ツール市場が暗闇に包まれつつある。不吉な話ではない。開発ツール用プラットフォーム「Eclipse」の話である。膨大な開発費を投入した当のIBMでさえも、オープンソース・コミュニティに寄贈したとはいえ、これほどまでに開発ツール市場を急速な勢いで闇に包もうとは思わなかったに違いない。
本年9月以降、大手開発ツールベンダが続々と新製品を市場に投入し始めるが、その多くは「Eclipse」対応をうたっている。日本IBMはIBM Rationalブランドで、旧ラショナル製品のラインアップを一新するが、「Eclipse」の開発元であるだけに、同社が対応を表明するのは当然のことだ。ラインアップ一新後の第1弾製品として登場するのは、IDE(統合開発環境)と合わせて使用する「Rational XDE」シリーズで、「Eclipse」対応を意識した同社の意気込みの大きさを表している。
開発ツール市場の大手といえばボーランドを外すわけにはいかない。「Eclipse」による暗闇から抜け出す道を手探りで探しているベンダの1社がボーランドである。無料でありながら、機能も豊富であり、充実したプラグインが次から次へと登場する「Eclipse」に、JBuilderを中心としたボーランドの有料統合開発環境はどのように対抗していくのか。同社としては「必ずしも競合するだけではない」とコメントしており、実際、「Eclipse」対応の製品も用意しているが、今のところ、出口の見えない暗闇だけに、その心境はなかなか厳しいようである。
「Eclipse」といえばJavaである。Javaの普及に諸手を挙げて喜べないベンダにマイクロソフトがある。「Eclipse」はJavaの普及を促進し、しかもオープンソースのプロダクトである。無料でダウンロードできる。このような「Eclipse」の存在は、マイクロソフトのプロダクト・マーケティングの方向性とは正反対である。「Eclipse」が暗闇とすれば、マイクロソフトはさしずめ光だろうか。その光がだんだん弱まってきている。
恐るべきは「Eclipse」そのものなのか、オープンソースという名の潮流なのだろうか。いずれにしても、当分の間、ソフトウェア開発の現場に青空は訪れそうもない。
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