[Analysis]
技術か価格か
2004/02/03
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現在普及しているIT技術は米国企業を起源とするものが多い。標準化団体も多くの場合、米国のITベンダが主導でその動向を決めている。もちろん、日本のIT関連企業は、そんな状況を黙ってみているだけではないのだが、ひいき目にみても、技術面で日本が米国を上回るとはいえない。
とはいえ、新技術の開発に優れていることが企業(あるいは国)に利益をもたらすかというと、必ずしもそうとばかりはいえない。自動車産業がいい例だ。生まれたばかりの新技術を実用に耐えるように改変し、高品質製品として量産に成功したことが、日本の自動車産業の隆盛につながった。
現在のIT業界でもまさに自動車と同じことが起きている。マイクロソフト、シスコシステムズ、サンマイクロシステムズといったIT業界における錚々(そうそう)たる顔ぶれが生み出す技術を、安価で高品質な製品へと展開する術は、いまだに日本企業の強みとなっている。そしてそのことは、当の企業自身が強みとして認識していることでもある。
例えば、ネットワーク機器ベンダのアライドテレシスは、売り上げの半分を海外市場に負っている。同社自身、シスコシステムズをはじめとした米国のネットワーク機器ベンダが持つような最先端技術の開発力はないと認めている。が、その一方で、同社は、登場したネットワーク技術をユーザーが使いやすいように“加工し”、製品価格を抑えて市場に投入することで着実に成長してきた企業である。同社によると、あまりにも技術的に新し過ぎるのは、ベンダのビジネスに不利に働く面があると主張する。極端な場合、ソニーがβマックスで陥った、独自規格の罠(わな)にはまるおそれがあるということか。
技術か価格か。その微妙なバランスはいつの時代も企業にとっては重要なテーマであるようだ。ベンダによっても立場は色々である。
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