[Analysis]
携帯電話は仕事に使いません
2004/02/24
携帯電話やPDAの機能進化が目覚しい。一部の携帯電話はメモリカードに保存したExcelやPowerPointのファイルを閲覧可能で、業務を特定すればクライアントPCのリプレースマシンとしても利用可能だ。携帯電話、PDAとも機能、インフラは整ってきた。ただ、エンタープライズ市場への取り組むの熱意はもう1つのように感じる。
NTTドコモが発売予定のFOMA SH900iは「ドキュメントビューワ」を搭載し、ExcelやPowerPoint、Word、PDFなどを開くことができる。また、PKI認証にも対応し、企業の情報システムとの親和性も増している。携帯電話の移動性を保持しながら、今まで以上の高機能性や高セキュリティを利用できる。
KDDIが2003年秋に発売した携帯電話「CDMA 1X WIN」シリーズは、電子メール、Webサイト閲覧のパケット通信料が定額で利用できる料金プランを用意した。携帯電話はこれまで業務に利用する場合でも、個人が通信料を支払うケースが多く、携帯電話対応のグループウェアなどの普及を妨げてきたといわれる。通信料金を定額にすることで、個人から会社への通信料の請求がしやすくなり、企業も個人の携帯電話の利用内容を把握しやすくなるだろう。
PDAでもマイクロソフトが積極的にエンタープライズでの利用を推進しているのに加えて、業務アプリケーションも広がってきた。アクシスソフトはPDA用のリッチクライアントツールを今春に発売する予定で、業務に対応したアプリケーションの開発コスト削減につながるとみられる。
携帯電話、PDAは機能面やインフラ面で、エンタープライズの利用が広がる下地ができてきたといえるだろう。しかし、エンタープライズでの普及に力強さを感じないのはなぜだろうか。携帯電話、PDAとも一般コンシューマの市場が先行して拡大し、そのはるか後ろをエンタープライズ市場が追っかけている状態だ。携帯電話を展開する通信事業者やPDAのベンダにとっては、とりあえずはコンシューマからの収益で間に合っていて、わざわざ市場が開けるかどうかも分からないエンタープライズに無理に進出することもない、というのが本音かもしれない。モバイル分野は国内のベンダが強みを持つ分野だ。モバイルを生かした魅力的なエンタープライズ・ソリューションの誕生が待たれる。
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