[Analysis]
ヤフーBB騒動
2004/03/02
サービス開始当初に紛糾したモデム設置工事遅延問題や、街頭で機器を配る「パラソル部隊」の“やんちゃな”(孫正義氏)勧誘活動に対する批判など、ADSLサービス「ヤフーBB」を運営するソフトバンクBBの営業展開は、常にスキャンダラスな話題に満ちていた。情報流出問題自体は同社にとって晴天の霹靂(へきれき)だったとしても、このような醜聞自体の出現は私たちにとってはすでに「またか」という類のものとなってしまっている。
既存加入者に500円相当の金券等を配布するだけで約40億円の特別出費がかさみ、さらにシステムのセキュリティ強化を施す費用として数億円の費用を積まなければならない。同社は2005年9月までに加入者を600万件まで増やすという目標を掲げているが、この目標および目標に対する営業努力が今回の騒ぎで頓挫することは、同社の存在そのものを揺るがしかねない。孫氏が記者会見で「目標を変えるつもりはない」とするのも当然のことだろう。
記者会見に限らず、さまざまな場所で同社に対する批判の声をよく聞く。多くの場合、その批判は正しい。だが一方で、日本のADSLインフラ普及の原動力として同社が果たした役割を無視することはできないのも確かである。巨人NTTの国内での影響力の大きさは想像を絶するものがある。孫氏およびソフトバンクBBの働きがなければ、現在の日本のブロードバンド・インフラの普及は確実に数年遅れていたのは確実である。「雨降って地固まるの意識で管理を徹底していきたい」と孫氏は記者会見で述べたが、本当に「地面を固める」ことができるのか、今後の対応が注目される。
関連リンク
情報をお寄せください:
最新記事
|
|