[Analysis]

サン、MS提携「なんでやねん、スコット」

2004/04/06

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 サン・マイクロシステムズのCEO スコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏といえばその毒舌が有名。特にマイクロソフトに対する“ぼろくその悪口”を陰ながら楽しみにしていた人も多いのではないだろうか。しかし、何てことだ! そのスコットが宿敵マイクロソフトのCEO スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏と握手をして、なんかユニフォームの交換までしているではないか。「なんでやねん、スコット!」

 サンとマイクロソフトは4月2日、独占禁止法や知的財産権など両社間のすべての係争で和解したと発表した。マイクロソフトはサンに対して、独占禁止法関連の和解金として7億ドル、特許関連の和解金として9億ドルを支払う。両社はテクノロジの相互利用についても合意。マイクロソフトはサンのテクノロジを利用するための前払い金として3億5000万ドルをサンに支払う。サンがマイクロソフトの技術を自社製品に組み込む場合も使用料を支払うことになる。いわゆるクロスライセンス契約だ。

 さらに両社は今後10年にわたる包括的な提携に合意した。サーバ関連技術の相互利用や、サンが主導するリバティ・アライアンスとマイクロソフトのパスポートとの接続、サンのサーバ製品のWindowsサポートの拡充などが今後進むとみられる。さらに両社にとって、そして現場のITエンジニアにとって大きいのはサンが推進するJavaと、マイクロソフトの.NETテクノロジの連携が進むとみられている点だ。業界を二分するJavaと.NETの互換性が高まることで、異なるシステム間の統合が容易になる。今回の提携では、このJavaと.NETの技術連携の強化が最も重要なのではないか。

 もちろん両社の提携は、勘ぐればさまざまな背景がみえてきそうだ。いわく、赤字を続けるサンの財務が持たなくなったのではないか。IBM、HPなどLinux戦略を積極的に進めるライバル企業に対する“敵の敵は味方”の提携ではないか。マイクロソフトは独占企業と批判されないためにサンを盛り上げておく必要があったのではないか、などなどだ。しかし、まあいいじゃないか、というのが正直な気持ちだ。ユーザー企業にとっては両社が和解、提携することで損することはまったくない。メリットばかりだ。今後10年のIT業界の地図を塗り替える提携といえるだろう。

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