[Analysis]

オープンソースは錦の御旗?

2004/06/01

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 5月28日、ノベルが今年1月に買収したSUSE LINUXの日本における戦略を発表した。その発表の席でノベルの代表取締役社長 吉田仁志氏は、オープンソースソフトのビジネス展開には「きちんとした会社がバックアップすることが大切」と述べた。

 その言葉を裏付けるかのように、ハードベンダやソフトベンダがオープンソースに対するコミットを続々と明らかにしている。先週取り上げたニュースでは、米BEAは、「BEA eWORLD 2004」でオープンソースの概念を広げようとする動きを見せたし、米コンピュータ・アソシエイツの「CAWorld2004」では、CAが持つRDBMSのルーツの1つともいえる「Ingres」をオープンソース化することを発表した。

 オープンソースに関して最も懐疑的な企業の1つであるマイクロソフトでさえ、批判するだけではなく、同社が持つ知的資産について特許申請をしたうえで、他社にライセンスするというビジネスモデルへの転換を図る考えを示すなど、変化の兆しがうかがえる。

 これら一連の動きは、これまでのプロプライエタリなシステム中心のIT投資に対して疑問を抱き始めたユーザー企業の突き上げ、要望も大きい。そうした要望にこたえるため、さまざまなベンダはオープンソースをいかにうまく活用し、自社のビジネスの売り上げにつなげるか、という思惑が見え隠れする。

 しかし、オープンソースがユーザー企業の悩みすべてを解決するのだろうか。その課題としてテンアートニ 代表取締役社長 喜多伸夫氏が指摘するのは、運用管理、オープンソースのソフトウェアに強いエンジニアを育てる必要性だ。さらに、オープンソースコミュニティに対してどう向き合うのかも大きな課題だ。自社にとってのみ“おいしいオープンソース”戦略で、コミュニティへの還元などがなければ、その企業は都合よくオープンソースという言葉を利用しているだけに思われるだろう。

 さて、各社はどのような回答を用意しているのだろうか。

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