[Analysis]
ぼくが感じたBRICs
2004/07/21
経済成長が著しいブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取り「BRICs」。このBRICsの存在感がIT分野でも高まってきた。
BRICsのマクロ経済の指標が伸びているのはもちろんだが、最近感じるのはBRICs出身エンジニアの急増だ。海外ベンダの担当エンジニアにインタビュー取材を行うことがたびたびあるが、インド系、中国系エンジニアへの取材が増えてきた。主観だが、特に通信機器ベンダにインド系、中国系のエンジニアが多いように思う。また、ロシア資本ベンダの日本進出も増えた。ロシアのベンダは軍事技術を生かした製品が特色で、独自の技術を売りにするケースが多いようだ。
取材したBRICs出身エンジニアの多くは、本国から欧米に移り住み、欧米資本のベンダに勤めている。もしくは移民の2世、3世。彼らの中には、本国に戻って起業するエンジニアも現れるだろう。欧米一辺倒のIT業界地図が、BRICsに拡大し塗り替えられることも考えられる。
BRICsが最初に注目されたのは安い労働力の供給国としてだった。欧米のベンダは本国で受注したシステム構築やソフト開発を、エンジニアの単価が安いBRICsのアウトソーシング企業に委託し、開発コストを削減してきた。いわゆるオフショア開発だ。米国ではBRICsへのアウトソーシングが米国のリストラを加速するとの声も出ている。
だが、BRICs出身のエンジニアが急増しているように彼らの本国の技術力は、欧米や日本と肩を並べているといっても過言ではない。マイクロソフトやインテル、IBMをはじめ多くのベンダはBRICsに研究開発拠点を設けて、現地のエンジニアとの共同開発を進めている。
BRICsは人材を欧米に供給するだけでなく、大消費地としても注目されている。BRICsの総人口は約27億人で全世界の4割を占める。ITの普及に伴いサーバやネットワーク機器などの大量購入が見込まれる。BRICs出身者の技術力を生かしながら、新規市場としてBRICsを注視するのが、欧米や日本のベンダが取るべき道の1つといえるだろう。
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