[Analysis]

富士通の野望成就の条件

2004/07/27

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 何度かのリストラクチャリングなどを経て、強気と攻めの経営にシフトしたのだろうか? 先週の富士通の記者会見に出席して感じたのは、製造業へのこだわり、世界展開へのこだわりとIBMへのライバル心だ。

 製造業にこだわる理由として、7月8日に富士通が開催した「富士通ソリューションフォーラム」で同社 代表取締役会長 秋草直之氏が“日本(のモノ作り産業)復活のシナリオ”に触れている。秋草氏は、その回答はコラボレーションワークにあると断言する。現在のハードウェアは、ハードウェアとソフトウェアの融合した製品が多い。富士通 取締役専務 伊東千秋氏は「製造と開発は不可分である」と解説する。設計などの上流部分を分離し、製造を海外拠点などに移転すればいいわけではないと反論する。

 では、日本で製造する場合のコスト上昇をどう押さえるのか。その解の1つとして富士通が提示するのは、日本でも製造しながら、毎年経常的にコスト削減を進めるトヨタ自動車だ。富士通はその生産管理の手法に習おうとしている。

 世界展開へのこだわりとIBMへのライバル心は、直近(7月8日)のサーバ戦略の発表会見でもみられた。富士通が世界市場を意識していること、IBMをライバル視しているのは周知の事実だ。サーバ戦略の発表会見では、北米と欧州の拠点と日本を合わせ、世界3拠点体制で戦う姿勢を見せた。

 しかしサーバのみならず、富士通全体として世界で戦う場合の課題は、以前からいわれてきたように、サービスやソフトウェア部門で世界で戦える体制を整えることだろう。その具体策の実行が求められている。

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