[Analysis]

上場記念! グーグルの今後を考えてみた

2004/08/24

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 米グーグルが8月19日、米ナスダック市場に株式を公開した。初日の終値は売り出し価格を18%上回る100.33ドル。上場に関していくつかのトラブルがあり、延期説もささやかれたが上々の滑り出しとなった。グーグルは自由な社風に守られたエンジニアがさまざまな新サービスを開発し、成長してきた。上場後のグーグルは今後どう進むのか。3つの未来を考えてみた。

 1つの未来は今後も発展、拡大を続け、ネットサービスの覇者となることだ。高いシェアを誇る検索サービスをベースに、アドワーズなど高収益な検索連動型広告を拡大させ、他社を圧倒するという未来だ。電子メールサービスの「Gmail」やブログサービスの「Blogger」、ソーシャルネットワーキングの「orkut」など、種をまいている新サービスが次々に花を開いて、市場を切り開くというのがその理想像だ。新サービスが人気を集めることでグーグルの検索サービスの利用者がより増加し、さらに新サービスへの誘導も増えるという好循環に入るだろう。ネット上の総合サービスプロバイダとしてポータルサイトの最大手に躍り出るという未来も考えられる。グーグルはスイス、インドに続いて日本に研究開発拠点を設置した。日本発の新サービスも期待できるだろう。

 もう1つはグーグルが普通の会社になる、という未来だ。グーグルを王座から引きずり落とすのは数々のライバル企業。検索ではマイクロソフトが新エンジンを開発中。巨額の研究開発費を持つだけにユーザーのニーズをうまく掴み取れば、大化けする可能性がないこともない。また、グーグルの現在の収入の大部分を占めるといわれる検索連動型広告はすでに競争が始まっている。競争相手はヤフーの傘下に入った米オーバーチュア。ポータル最大手のヤフーを独占できるオーバーチュアはグーグルにとって脅威だろう。ヤフーは従来、検索エンジンにグーグルを利用していたが、自社開発の「ヤフー・サーチ・テクノロジ」に切り替えた。大手企業によるグーグル包囲網が築かれて市場の競争が激化することでグーグルが普通の会社に成り下がることも否定できない。

 現在の状況からは想定しづらいがグーグルにとって最悪の展開は、他社による買収などで市場から消え去ることだ。投資家の厳しいチェックを四半期ごとに受けることで、短期的な収益だけを追い求めるつまらない会社にならないか。自由な開発を推奨する社風がなくなりサービスの競争力が低下、他社につけいれられる懸念も捨てきれない。エンジニアの創意工夫を大事にしてユニークなサービスを提供する会社として成長を続けるには、トップマネジメントのさまざまな目配りが必要になるだろう。

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