[Analysis]

台風、ハリケーンが多いですね

2004/10/13

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 10月4〜6日にかけて米国でシトリックス・システムズのユーザーカンファレンスを取材した。カンファレンス会場はフロリダ州オーランドのホテル。フロリダ州は9月に大型のハリケーン「アイバーン」「ジーン」で大きな被害を受けた。道路沿いの木々はほとんどが傾き、倒れている巨木も多かった。被害を受けた家屋を覆うブルーシートも見られた。

 8月から10月にかけては日本も台風で大きな被害を受けた。このような自然災害による被害を目の当たりにするとITシステムのデータやアプリケーションを遠隔地に保存し、保護するディザスタ・リカバリ(DR)の必要性が再認識させられる。

 DRは2001年9月の米国同時多発テロ後に日本でも注目されたが、その後は尻すぼみというのが現状ではないだろうか。最も日本ではDRを導入しても積極的に外部にアピールする企業はほとんどない。セキュリティに関することをオープンすると、手の内が知れてしまい、攻撃を受ける危険が高まると考えてのことだ。

 一方、米国企業はDRについて逆の考えを持っているようだ。それは積極的にDRをアピールすることで、株主など市場に対して説明責任を果たすという考えだ。大きな投資をしてDRを構築するのだから、株主に対してその意義を説明するという考え。また、ITシステムが大きな被害を受けた際には、ITシステムの保護に最大限の努力をしたという証拠としてDRの構築を示すことを考えているようだ。

 シトリックスのユーザー事例として話を聞いたマイアミの企業、ミューチャルサービスのCIO クリストファー・マクダニエル(Christopher G. McDaniel)氏は「DRがなく、ITシステムがハリケーンの被害を受けていたら、1週間に260万ドルの被害が出るところだった」と説明した。ミューチャルサービスはアトランタのミラーサイトに追加して、別の地域にもう1つのミラーサイトを構築することも検討している。本社と合わせて3角形のDRを構築し、データ保護をより確実にする考えだ。

 日本ではDRについての話題が少ないために先進的な事例の共有が難しく、DRに取り組む企業はどこも手探り状態で始めないといけない。日本企業ももう少しDRについての情報をオープンにして、各企業で情報を共有できるようにすれば、お互いのDRをよりよくできると思うのだが、どうだろうか。

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