[Analysis]

ストレージの低価格化と仮想化の関係

2004/10/19

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 日本IBMがストレージの新製品「IBM TotalStorage DSファミリー」を発表した。新製品の最大の特徴が、他社製品と比べた場合のコストパフォーマンスのよさだ。日立製作所の同クラスの製品「SANRISE Universal Storage Platform」(USP)と比べ、「同一価格でUSPの約3倍の容量を提供できる」(日本IBM 常務執行役員 システム製品事業担当 橋本孝之氏)という。

 IBM TotalStorage DSファミリーのもう1つの特徴が、仮想化技術だ。IBMがUNIXサーバで採用しているPOWER5プロセッサを採用することで、同プロセッサが持つ論理区画機能をディスクコントローラに搭載。現在はリソースを割り当てるたびにシステムを停止する必要があるが、将来的にはシステムを停止させずに済むリソースの自動割当機能を搭載する計画だ。

 こうした戦略を取るのは、何もIBMだけではない。価格面ではすべてのベンダが、自社の以前の製品や業界の製品と取り上げ、コストパフォーマンスのよさ、TCOの削減効果などを打ち出す。仮想化では最近、SANのファイバ・チャネル・スイッチベンダの米マクデータが今後Virtualization Switchと呼ぶ装置の投入を表明したほか、ヒューレット・パッカードはストレージ管理の新アーキテクチャ「HP StorageWorks Grid」を発表、ストレージのソフトベンダであるベリタスソフトウェアはユーティリティ・コンピューティング戦略を推し進める。IBMがライバル視した日立のUSPも仮想化機能を持つ。

 ハードウェアとしてストレージを見た場合、単位当たりの価格は今後も下がり続けるだろう。ベンダが異なるストレージ(特にSAN)を利用する場合でも、標準化が進み、ハードウェアの互換性は高まっている。が、そうなればどのストレージを選んでもいい、といった価格競争に陥る可能性がある。そこで各ベンダが仮想化やグリッド、ILM(情報ライフサイクル管理)などのソリューションや技術(つまり差別化)を訴え、自社製品への囲い込みを図る。

 ではその先にあるのは何であろうか。記者会見などでは最近、ベンダ間の互換性が差別化戦略と関連して再び話題になる。差別化した部分の技術の標準化が遅れている(またはない)からだ。各ベンダは等しく、顧客(ユーザー)がROIに厳しくなっているという。そんなユーザーは、そうしたベンダの動きに対して、どのような見解を持ち、どう評価を下すのだろうか。

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