[Analysis]

PC的“ヤマアラシのジレンマ”

2005/01/25

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 先週末に行った家電量販店のデスクトップPCの売り上げは、1、2位がNECの「VALUESTAR S PC-VS700BD」「PC-VL570BD」、3位が「FMV-DESKPOWER FMVLX70K」だった。これらのPCのPOPには「Wチューナー搭載」や「ハードディスクレコーダ機能付き!」と表示されている。デザインも液晶モニタの裏に本体があり、前から見ると“テレビデオ”の液晶モニタ+DVDレコーダ版のようだ。シャープは26インチの液晶モニタ搭載モデルを出荷している。これらの現象は、デスクトップPCのリビング侵攻計画の始まりではないだろうか。

 PCを書斎からリビングへ移動させようという試みは、最近始まったものではない。マイクロソフトは、2003年に「Windows XP Media Center Edition」(MCE)を発売しており、「リモコン1つでテレビや録画ができるセットトップボックスPC」を売りにしている。先述の家電化やMCEのセットトップボックス化など、両者の戦略は異なるものの、狙ったポジションはテレビやDVDレコーダなど“リビングの主役”だろう。

 一方、現在リビングの主役であるテレビやDVDレコーダもインターネット接続機能を備えて情報化を進めている。PCをあまり利用しない家庭であれば、このネット付きテレビで十分だろう。また、ワンルーム1人暮らしであれば、大画面テレビとPCの液晶モニタを両方置くのはスペースの無駄といえる。

 このように、現状ではテレビとデスクトップPCで棲み分けができているが、両者の狙いは似ており、いずれ交差する可能性が高い。両者の機能が限りなく近づいたときに、“ヤマアラシのジレンマ”は成り立つのか。今後、パソコン売り場はノートPCのみとなり、「家電化したデスクトップPC」と「PC化したテレビ」が同じコーナーで売られる日がくるかもしれない。

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