[Analysis]
バズワードの連発は控えめに
2005/02/08

清水建設の安井昌男氏がソフトウェア開発者向けの会議(デブサミ2005)でなかなかいいことを指摘した。彼は清水建設の情報システム部 情報コンサルティングGに所属している。システム開発企業の提案を「ふむふむ」と聞き、聞いたうえで、こう質問するそうだ。「それで何がよくなるのか?」「なぜ、そのような提案になったのか?」。この質問に対する回答がなかなか出てこない。
開発側として(デブサミ2005で)しゃべったウルシステムズの代表取締役社長 漆原茂氏も、どちらかといえば、安井氏の側に立つ。彼はいう。「IT業界には要素技術に対する盲信が蔓延(まんえん)している」。
要素技術はあくまでツールである。重要なのは、顧客の思い通りのシステムを作ることだ。ツールはそのために使えばいい。鋸(のこぎり)や槌(つち)の性能を詳しく解説しても、どんな家が建つのかさっぱりわからない。しかし、どういうわけだか、次から次へと、色々な形状や性能を持った鋸や槌が出てくる。
IT業界におけるBuzzword(バズワード:専門家が素人を感心させるような、その分野特有のもったいぶった専門用語)の氾濫傾向は、いまだにとどまることを知らない。ITにおける要素技術の固有名称は、IT業界外の人にとってはほとんどがバズワードと化す。だが、IT業界ほど、バズワードを乱発する人が多い業界もないのではないか。パソコンが家庭に普及した現在でさえ、コンピュータ用語の多くは“普通の人”にとっては意味不明のヨコモジにほかならない。
顧客の要望を聞き、それを顧客の要件としてまとめるコンサルタントがバズワードを連発するようでは、彼の仕事の達成はおぼつかない。顧客の多くはITの動向には疎いものだ。少なくとも、安井氏に代表される非IT企業は、わけのわからないヨコモジによる技術解説を求めているわけではない。
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