[Analysis]
レノボの新ThinkPadに未来を見た
2005/06/14
講演会や記者説明会のプレゼンテーションで利用されるPCで人気なのはどの製品だろうか? 具体的なシェアまでは分からないが私の感触では、かつては日本IBM、そしていまはレノボ・ジャパンが開発する「ThinkPad」が高い人気を誇っているように思う。続いてデルというところか。黒一色で主張が少ないデザインと堅牢で信頼性が高いというイメージが受けているようだ。
そのレノボが6月8日、IBMのPC事業買収後に初となる新製品「ThinkPad X41 Tablet」を発表した。ThinkPad X41 TabletはこれまでのThinkPadと同様に日本が中心となって開発した製品。「ビジネスシーンで使えるタブレットPC」として売込みをかける考えだ。コモディティ化したPC市場の中で、タブレットPCは他社に対する差別化の1つにはなるだろう。
レノボを始め、PCベンダはコモディティ化したPC市場の中で、ビジネスに必要な価値を製品に追加するのに懸命になっている。タブレットPCはその1つの回答だ。また、従来からレノボが強調している指紋認証などのセキュリティ機能や堅牢性も、コモディティ化の中での差別化戦略だろう。ただ、IBMがさまざまな手を駆使してもコモディティ化の波に抗えなかったように、小手先の戦略では突き抜けることはできない。PCという成熟市場の中で、低成長と買収・合併を繰り返すことになる。
コモディティを脱却するには、PCという枠組み自体を変える必要がある。情報漏えいの防止で注目を集めるシンクライアントかもしれないし、タブレットPCのようにユーザーの利用シーンを考えたPCかもしれない。クライアント/サーバや階層型システムなど既存の情報システムの仕組みを変える必要もあるだろう。情報システムのクライアントとしてPCが使われだしたのはそう昔ではない。今後、PCが別の役割を持たされる可能性は高い。ベンダは価値を生み出すマシンとしてPCを再定義する必要があるだろう。
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