[Analysis]
日本に続け! アジアのネット事情
2005/06/21
ライブドアが6月15日に月額525円の公衆無線LANサービスを7月より開始すると発表した。当初は山の手線内を中心にサービスを拡充し、その後1都8県までサービスを拡大する予定だという。さまざまな課題が山積しているが、それらが解決されれば、日本のブロードバンド事情にとって4年前のYahoo! BB登場以来のインパクトになるだろう。このように世界一といわれるまでに成長したブロードバンド環境をさらに加速・拡充させていく日本。一方で、そのほかのアジア諸国のインターネット事情はどのようなものなのか。ここでは、東南アジアの中でも特にタイを中心に紹介したい。
タイの首都バンコクでは、観光客が多い土地柄から5年以上前よりインターネットカフェが散在しており、現在では数件置きにインターネットカフェが並んでいる場所もある。また、主要ホテルや地方主要都市のインターネットカフェも、ブロードバンドに近いインターネット環境が備わっているといえるだろう。回線種別は4年前くらいまでは、ダイヤルアップがメインだったが、現在はADSLがほとんどだ。
ダイヤルアップ時代には、インターネットカフェに入って席に着くと、奥で店員がモデムの電源を入れて「ピーヒョローガー」といった音が店内に響く光景がよくあった。しかし、3〜4年前から店の看板などに「HISPEED ADSL 128Kbps」といったうたい文句を見掛けるようになり、現在では「ADSLは当たり前、いかにスピードが速いか」というレベルの競争にまで発展している。日本の50MbpsのADSLや光ファイバインターネットの普及度と比較するとまだまだ低いが、もともとバンコクは有線の電話回線インフラの環境があまり良い状況ではなかったという状況を考慮すると、驚異的な成長ともいえる。
そのほか、中国やベトナム、カンボジアなども都市部を中心に急速にADSLが普及しており、ベトナムのハノイのADSLは「128〜256Kbpsの速度が中心」(ハノイ在住記者)だという。このような背景から、ユーザー向けのブロードバンドルータや、キャリアやISP向けのスイッチ/ルータの需要も急激に伸びている。実際、ジュニパーネットワークスが開催したアジア地域のISPやキャリア向け説明会では数百人を超える関係者が訪れ、熱心に各種技術や製品の説明を受けていた。
このように、現在のアジア各国におけるインターネット環境は、日本から数年遅れている状況だが、数年後には日本に追い付く勢いを感じる。ネットワーク機器ベンダもこの状況を見据えて、中国を中心としたアジア各国向けの対策を強化している。日本がブロードバンド大国としていつまで世界を引っ張っていけるか見ものだ。
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