[Analysis]

SOAがきっかけでベンダが減少する

2005/06/28

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 アプリケーションベンダのSOAへの取り組みが本格化してきた。日本オラクルは6月23日、異なるアプリケーションを統合するためのSOA基盤としてミドルウェア・プラットフォームの「Oracle Fusion Middleware」を発表した。狙いは「Oracle Applicationsだけでなく、ほかのアプリケーション、カスタムアプリケーションを新しいアーキテクチャの下で統合していくこと」(日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏)だ。

 Oracle Fusion MiddlewareはSOAに基づき、アプリケーションのさまざまなデータを統合する「Data Hubs」や、ビジネスプロセスを統合する「Oracle BPEL Process Manager」、ビジネスインテリジェンスなどで構成。オラクルだけでなく、買収したピープルソフトなどさまざまなベンダのアプリケーションを同一の基盤に統合できるようにした。

 オラクルは自社製品のほかに、買収によって「PeopleSoft Enterprise」「JD Edwards EnterpriseOne」「JD Edwards World」「Retek」と多数のアプリケーションを保有する。これらのアプリケーションを将来的に1つのアプリケーション「Fusion Application Suite」に統合するには、SOA基盤の整備が不可欠と判断した。

 SAPも同様にミドルウェア基盤の整備に取り組んでいる。同社のSOA基盤「SAP NetWeaver」はポータルや経営分析ツールを搭載し、ほかのアプリケーションとの連携を容易にしている。NetWeaver上ではERPパッケージの「mySAP ERP」もコンポジットアプリケーションの集合体となり、必要に応じてサービスを抽出し、別のサービスと組み合わせる。「ソフトウェアベンダはこれまで、自動車でいえば完成品を提供してきた。これからはモジュール化されたパーツ全体の塊を提供し、顧客やパートナーが柔軟に組み上げていく」とSAPジャパンのバイスプレジデント ソリューション統括本部長 玉木一郎氏は語っている。

 アプリケーションがサービス指向になるにつれ、その提供形態は変わってくるだろう。パッケージだけを提供するのではなく、サービスを構成するためのコンポーネントを提供するという形が普通になるかもしれない。標準技術をベースにした各ソフトウェアベンダの協業体制とエコシステムが重要になる。囲い込みを図り、独自技術に固執するベンダはユーザーの支持を失うかもしれない。玉木氏は6月27日の会見でIT産業の今後について意見を述べた。「ITインフラを提供するベンダの数は減っていく。しかし、システムが柔軟になり、ソリューションレベルの解は千差万別になるだろう」。

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