[Analysis]

衆院解散をIT業界から見ると

2005/08/09

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 郵政民営化関連法案の否決で衆院が解散。国民が議員を選択する機会を得ることは基本的にいいと思うけど、国会提出中の法案が解散によって継続審議になったり、提出そのものが見送られたり、IT業界の適正な成長? のためによくない影響もあるでしょうね。

 現在、ITベンダが注目しているのは「日本版サーベンス・オクスリー法」(日本版SOX法)の動向です。まだ、金融庁の審議会が検討中で、法案にもなっていませんが、仮に法律として施行されれば個人情報保護法以上のインパクトを企業に与えるように思います。

 日本版SOX法は企業の会計監査の適正性をより高めるために、企業内部で不正や誤りがないように業務の手順を文書にしたり、内部の監査を強化することが義務付けられます。7月13日に金融庁の審議会が発表した草案では、米国のSOX法にないIT統制の項目が加えられています。財務諸表の作成に欠かせない情報システムにも不正があってはならないということで、きちんと稼働しているかをチェックする必要があるというわけです。ITベンダにとっては自社の製品が日本版SOX法に対応している、もしくは日本版SOX法への業務の対応を支援するなどが売りになるでしょうね。

 個人情報保護法もそうでしたが、新たな法規制の導入は企業に対して、投資対効果を抜きにして対応を迫ります。企業はコスト度外視で導入に走るので、システムを売るITベンダはとてもおいしい……ということになりそうです。今回の衆院解散で、日本版SOX法がどの程度影響を受けるかは分かりませんが、大臣が変わって法案の方向が変わるということもありますし。ユーザー企業の情報システム部、ITベンダともウオッチが必要でしょう。

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