[Analysis]
著作権とITの相性の悪さ?
2005/10/12
知的財産高裁が10月7日に示した記事の見出し無断使用の違法判決は、インターネットでの商業的な情報発信のあり方に一石を投じるものだった。かねてより、讀賣新聞は見出しの著作権を主張、日本新聞協会や社団法人著作権情報センターなども、インターネットで配信される記事見出しのリンクについては慎重な姿勢を示していた。
知的財産高裁判決は、見出しを著作物とするかは個別の検討が必要であるとし、著作権法に基づく権利保護は否定したが、民法七〇九条の不法行為は成立するとした。
「タイトルとハイパーリンクくらいは自由に使ってもいいと思う。その方が世の中の発展に寄与するのではないか」。アイティメディア @IT編集部 編集長の新野淳一氏は、個人的な見解としながらも、そうコメントする。最近のWebサイトは、見出しや要約のメタデータを構造化して記述するRSS(Rich SiteSummary)を提供していることが多い。現在普及しているブログとRSSは切っても切り離せない存在だ。Webサイト内で日々生成される情報を効率的に収集するための技術として、これらの技術は生み出された。
実際、RSSリーダーで情報収集をする人は少なくない。彼らは記事の見出しで情報の内容を判断する。個人的な利用や非商用のWebサイトでは、見出しとハイパーリンクの利用は自由に行われていることがほとんどだ。
しかし、今回の司法判断によって、記事見出しの商業利用に対する縛りが生じたのは事実。見出しに著作権を認めるべきだとの意見にも確かに一理あり、インターネット上だけで情報配信活動をし、毎日見出し作りで頭を悩ませている身としては、その妥当性も理解できるが、一方で、(現行の)法体系と情報技術の発展の根本的な齟齬(そご)は相変わらず解決していないと感じることがある。著作権とITの相性の悪さはおそらくこれからも続くのだろう。
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