[Analysis]

システムとして、考え方としてのSOA

2005/11/01

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 10月中旬に日本IBMは、伊豆・天城にISVやシステム・インテグレータの関係者を集め、「SOA Business Exchange」と題したセミナーを実施した。このセミナーでは、国内でほとんど初のSOA導入事例といえる三井倉庫のケース(セミナー後の10月25日にニュース・リリースが出た)などを通じ、SOAがもはや単なる技術ではなく、現実であるというメッセージが強く打ち出された。

 セミナーにおける話題の1つは、ビジネス・プロセスとシステム・プロセスの関係だ。企業の基幹システムがすべてSOA化される必要はない。顧客に対する個別化対応など、競合上の優位をもたらすシステムの使い方をしたい、あるいは硬直的なシステムが日常業務の障害になっている、といった部分だけを外に切り出して、即座に変更を加えられるようにするためにSOAを活用できる。一方で、こうした取り組みが大規模なものになってくると、システム・プロセスのモデリング作業において、ビジネス・プロセスを表現することが、大きな課題になってくる。

 もう1つは考え方としてのSOAだ。イーシー・ワンの最首英裕社長は、「SOA対応を難しく考える必要はない。ほかのソフトウェアが利用できるように、インターフェイスを外に提供してあげればいい」と語った。しかし、それにはコンポーネント・ベースでの開発が前提となるし、新たにシステムを開発する際には、コードの再利用やメンテナンスができるだけ容易になるように、開発プロセスの上流から考えておくべきだということになる。

 こうした形で開発されていれば、SOAPやBPELといったSOA関連の標準を使うかどうかは別として、開発されたソフトは「SOA的」なものになる。このようにして、考え方としてのSOAが着実に広まっていくという意見に同意する人々は多い。

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