[Analysis]

Web 2.0的「インターネット証券 2.0」登場

2006/04/18

gmo.gif

 4月13日にGMOインターネットグループのGMOインターネット証券が、5月12日よりインターネット専業の証券取引サービスを開始すると発表した。後発の同社が競争の激しいインターネット証券市場で生き残る戦略を、同社社長の高島氏はずばり「Googleのような会社にしたい。GoogleがWeb 2.0時代の代表だとすると、当社はインターネット証券 2.0を目指す」と説明する。果たしてインターネット証券 2.0とはどんなものなのだろうか。

 高島氏は、Googleの特徴に「サービスが無料」「基本的に検索機能に特化している」「APIを公開している」という3点を挙げた。GMOインターネット証券は、この点について「最低水準の手数料」「決済機能に特化」「API公開」で対応する。同社はこの3点を武器にして、他社と競争していくつもりだ。

 業界最低水準の手数料を実現するために、サーバは基本的にLinuxを採用。オープンソースを多く取り入れ、コスト削減を実現した。また、ユーザーの意見を多く取り入れるために、「あえてゼロからすべて作った。ほかの証券会社を買収すれば短期間で参入できるが、対応が大変になる」(高島氏)という。実際、システム開発は最大で30人規模、7カ月150人月程度で完成し、「他社システムよりも圧倒的低コストで開発できた。10分の1程度ではないか」(高島氏)と自信を見せる。システムを低コストで開発し、低コストで運用することが、他社に勝る低料金の源泉となる。

 運用面では、GMOインターネットグループのノウハウを利用し、サーバなどを集約。開業時点では、1日当たり最大5万約定に耐え得るシステムとなっているが、「拡張性の高い設計なので、取引状況を見て迅速に増強も可能だ」(高島氏)と説明した。開発言語には、主にAjaxを採用。フロントシステム開発プロジェクトリーダーの笠原氏は、「開発言語自体を作ろうという動きもあったが、納期的に今回は断念した。Googleのように、新サービス開発が盛んで、開発者の声が通りやすい環境だ」と開発現場を説明する。

 また、徹底的にデイトレーダーの声を聞いて、ツールの使い勝手を研究したという。さらにAPIを公開することで、ツールの改良などがオープンソースコミュニティによって行われることを想定している。さらに、高速な取引を求めるデイトレーダーなどに向けて、専用サーバを割り当てるサービスなども検討しているという。

 このように、GMOインターネット証券は「手数料の安さ」「API公開によるツールの充実」「専用サーバ割り当てによる約定の早さ」をウリに、既存インターネット証券へ挑戦する意向だ。高島氏は、「業界1位のイー・トレード証券の場合で、1日30〜40万約定といわれている。後発となる当社が挑む壁は大きいが、便利なツールがあり、サーバが快適で、さらに業界最低水準の手数料であれば、当社を選ぶのが当然ではないだろうか。迅速に10万口座獲得を目指したい」と語り、今後の展望を示した。

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)