[Analysis]
新会社法施行、内部統制構築は始まっている
2006/05/09
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いわゆる日本版SOX法として注目されている金融商品取引法案が国会で審議中だ。同法案では企業に対して内部統制の構築を義務付け、その評価と報告を求める。企業に対して内部統制の強化を求める流れはここ最近強まっている。5月1日に施行された新会社法では、内部統制システムの構築と開示を大会社(資本金5億円以上または負債200円以上、非上場会社含む)に義務付けた。
新会社法は5月以降の最初の取締役会で内部統制システムの基本方針を決議し、2007年の株主総会の事業報告で開示することを定めている。金融商品取引法案が財務報告に係る内部統制と範囲を限定し、詳細なリスク管理を求めるのに対して、新会社法では企業の広範囲な業務が対象となっている。ただ、法令遵守の考えを企業内に浸透させ、業務プロセスを細かく管理する考えは同じだ。企業は新会社法と金融商品取引法案を連続して考えて、内部統制の整備を行うのが得策といえるだろう。
新会社法の施行を受けて、内部統制システム構築の基本方針を決議、公表する企業も出てきた。帝人は新会社法施行に先立つ4月24日に、内部統制システムの体制についての基本方針を公表した。取締役の法令遵守体制では、コンプライアンスの基本原則を設けたことを記述。コンプライアンスの責任者としてCSRO(チーフ・ソーシャル・レスポンシビリティ・オフィサー)を設置したとしている。
また、基本方針ではITシステムに関して、取締役の職務執行に関する情報の保存および管理体制の項目で、デジタル文書を含めて保存、管理する文書を規定。これらの文書については「少なくとも10年保管するものとし、必要に応じて閲覧可能な状態を維持する」としている。また、リスク管理体制については業務上のリスク管理体制の構築を宣言すると同時に、「基幹ITシステムが正常に機能しないことにより重大な被害を被るリスク」に対して「事業の継続を確保するための態勢を整備する」としている。
弁護士の牧野二郎氏は1月の講演で「内部統制システムを一発で構築できることはあり得ない。あまり過剰に反応せずに何段階かに分けて対応すべきだ。まずは第一弾として新会社法に対応する手もある」と語った。日本版SOX法の適用が始まる2008年4月までには2年弱あるが、それまでにも企業が行うことは多々あるといえるだろう。
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