[Analysis]
そしてケータイはコンテンツへ向かう
2006/05/23
総務省が5月19日に発表した最新の通信利用動向調査によると、携帯電話など移動端末からのインターネット利用者が2005年末時点で6923万人となり、パソコンからの利用者を上回ったという。「現在の携帯インターネットはインターネットではない」という人たちは、iモード開始当初から根強く存在するが、少なくともインターネットを取り込んだコンテンツ利用端末としての携帯の存在感は、ますます増している。
音楽配信サービスで現在のところ他社よりも大きく先んじているのはKDDIのau。「音楽で最初に思い浮かべる携帯電話会社」を聞いたアンケート調査で、auは80%以上のユーザーに選ばれているという。
KDDIは5月22日に開催した新機種発表会で、国内における有料音楽配信のほとんどが、PCではなく携帯を対象としていることを明らかにする数字も示した。これによると、2005年において、数量ベースでは96.4%、金額ベースでは94.3%が、携帯に対する配信だったという。
重要なマルチメディア・コンテンツである有料音楽配信の利用で、日本ではPCよりも携帯電話が圧倒的に支持されているという数字は、非常に示唆に富んでいる。
では、そのほかのコンテンツの展開はどのように進んでいくのだろうか。この点でも、先週KDDIが発表したグーグルとの提携を深読みすれば非常に興味深い。発表されたのはグーグルがauのスタートページに検索機能を提供することのみ。しかし、グーグルの既存、新規のサービスとの連携や組み込みが進むのであれば、携帯電話端末の姿は今後さらに大きく様変わりする可能性があるとの期待が持てる。
すでにPCと携帯電話の双方でポータルを展開しているソフトバンクは、ボーダフォンの携帯電話向けにポータルサービスやコンテンツの充実を進めていくと宣言している。ソフトバンクは、ビジネスモデルの舵(かじ)をアプリケーション側に大きく切ることで、既存の携帯電話事業者の壁を崩そうとしているように見える。
アプリケーションの進化と、これに伴うビジネスモデルの変化。今後の携帯電話業界の勢力図を左右する最大のテーマとなってくるに違いない。
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