[Analysis]

企業におけるネット利用と「幸せ」の関係

2006/06/20

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 6月第2週に幕張メッセ(千葉県)で開催された展示会/カンファレンスのINTEROPで、Best of Show Awardの審査員を務めるとともに、カンファレンスでは展示会におけるハイライトを語るパネラー・セッションに参加させていただいた。

 このセッションで、展示会で見られるセキュリティ関連製品のトレンドについて私が話したところ、パネラーの1人から「セキュリティ製品やサービスは人々の幸せにつながらない分野の最たるもの」とのコメントがあった。人々を脅して、必要かどうか分からないものまで押し付けようとしていることが気に入らないというのである。こうしたコメントが出るのも、一般的な企業向け展示会/カンファレンスと異なり、INTEROPでは製品間の相互運用性のインターネットの発展促進が、現在に至るまでその基本的テーマとして受け継がれているからだといえる。

  もちろん、この基本的な問いかけに対する反論はいくらでもできる。

 だが、もう1歩踏み込んで考えてみると別の側面も見えてくる。

 最近では、日本版SOX法への対応や、より広義のコンプライアンスを理由とした従業員監視や利用制限ソリューションを導入する企業が増えてきた。従業員のネット利用を監視したり、利用制限するというのも企業の取り得る立場の1つだ。だがその前に、業務に欠かせないアプリケーションやWebサイトなどへのアクセスという点でのネット利用は、確実に、安定的に行えるようになっているだろうか。

  また、より解決の難しい問題ではあるが、ビジネスツールとしては脆(ぜい)弱な電子メールというメディアを、企業としてどう使っていくかを真剣に考える必要があるのではないだろうか。少なくとも送信ドメイン認証やS/MIMEの利用を考慮すべきではないのか。

 企業ITの運用において、あいまいな幸せはたしかに目標とはならない。しかし、ITサービスという観点では顧客である従業員に対して、業務を円滑にする支援のための十分なサービスが提供できているのか。これがまず問われるべきではないのだろうか。

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