[Analysis]

セルフレジ普及の意外な阻害要因とは?

2006/08/08

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 「日本における“セルフレジ”の普及が予想より遅れている」と語るのは日本NCR社長の細井英樹氏だ。同氏は、ここ数年間の米国におけるセルフレジの普及具合や機能強化を見て衝撃を受け「これはすごい」と思い、日本でも必ず普及すると数年前からいい続けている。しかし、まだまだ浸透していないのが実情だ。その理由には日本ならではの意外な理由があるという。

 セルフレジは、ご存じのように買い物客自身がレジを通し、支払いまで済ませる会計方式だ。日本でもいまでは、セルフ方式のガソリンスタンドなどで多く見かける。セルフレジによって、店側はレジ担当職員を削減、もしくは別サービスへ変更できるため、サービス拡充やコスト削減のメリットがある。顧客もそれにより、商品価格の減少やレジ以外におけるサービス拡充のメリットを受けられる。

 一方のデメリットは、“めんどくささ”だ。スーパーなどでは、多い場合数十品目のバーコードをレジのリーダーに読ませ、会計をしなくてはならない。普段見ていて分かると思うが、熟練のレジ係員でさえ、でこぼこな面に印刷されたバーコードを読ませるために何度も何度もかざしていることがある。「バーコードを読み込ませ、商品を袋に入れ、代金を支払う」、この一連の動作を自分で行うことが“めんどくさい”と思われ、敬遠されてしまうことが普及の阻害要因の1つに挙げられる。

 特に、クレジットカード払いが普及している米国と比較して、日本はまだ「スーパーのカード払いは数%程度」(日本NCR担当者)であり、現金払いが主流だ。そのため、カード払いよりも支払いに手間がかかる。

 そして、日本固有の問題に「小銭洗浄機能」があるという。米国などでは、小銭が汚れていてもさほど消費者は気にしないが、日本の場合は小銭を洗浄しないと消費者は清潔さが足りないと思ってしまうというのだ。そのため、セルフレジに簡易な洗浄機能を持たせる必要があり、ユニットが大きくなってしまう。

 これらの問題の解決策として、いくつかの施策が考えられている。まずは、RFIDとの連携だ。これは、商品に固有のRFIDを付け、セルフレジがリーダー機能を持つことにより、レジの上を通過するだけで、支払い金額を算定することができるというものだ。この機能により、バーコードをリーダーにかざす必要がなくなる。昨今普及してきたEdyなどとの連携も考えられるという。

 すでにセルフレジが普及し始めている米国では、4台に1人の割合で係員を配置し、きめ細やかに対応しているほか、レジの前後で重さを量ることでレジの通し忘れや不正を防ぐ機能などが搭載されているという。これらの機能を備えることにより、「日本では普及が難しいといわれていたセルフ式のガソリンスタンドもいまでは多い。セルフレジも、数々の壁を乗り越え、いずれ普及するだろう」(日本NCR担当者)との展望を語った。

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