[Analysis]

市場はSNSに期待している

2006/08/22

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 ミクシィが9月14日に東証マザーズに上場する。8月14日に東京証券取引所の上場承認を受けたという発表があった。想定価格は1株155万円(ブックビルディングの仮条件は8月25日に決定)。時価総額は1092億円(株式総数7万500×155万円)の見込みである。東証マザーズの時価総額ランキングでは10位以内に入る予定。このことからもわかるように、同社の株式上場に対する市場の期待は大きい。

 8月18日には楽天が2006年6月の中間決算を発表した。純利益が前年同期比37%増の71億円と好調な数字を達成した。稼ぎ頭は証券部門と本業の電子商取引部門だが、おおむね証券部門の成績が同社の好調決算を下支えしている。楽天の代表取締役社長 三木谷浩史氏は今後の経営課題としてWeb2.0への対応を掲げた。三木谷氏が言うWeb2.0対応とは、ブログや商品レビューといったユーザー発信型のコンテンツを、実際の購買行動につなげる仕組み作りに力を入れるということを指す。

 8月20日にはボーダフォン(ソフトバンク傘下)が今秋にも携帯電話でSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を開始すると日経で報じられた。携帯電話会社がSNSを展開するのは初となるという。

 SNSがビジネスになることに楽天やソフトバンクが気がついたのはつい最近のことであろう。各社のSNS事業参入の遅さをみると、新規ビジネスの矢継ぎ早の開発(や買収)で成長してきたITベンチャーの優等生たちの動きがだんだん鈍くなっていることに気がつく。ヤフーがSNS「Yahoo! Days(コードネームはYahoo! 360°)」を本格的に開始したのは2006年7月31日だ。ミクシィの2006年7月末の利用者は500万人超。この抜群の“集客力”に迫るのはヤフーといえども簡単ではないだろう。

 しかも、ミクシィの場合は携帯電話が強い。ミクシィの携帯電話向けサービスの月間ページビューはおよそ12億。ヤフーの携帯電話向けサービスのPVは約15億でその差はわずかである。なお、ミクシィの競合相手とみられるグリーは7月31日、KDDIの出資を受け入れ、共同で携帯電話SNSの企画・運営を行っていくと発表している。携帯電話というプラットフォームで展開するSNSは、収益力が確保できるコンテンツとして将来有望であるとKDDIは判断したわけだ。同様の理由で、NTTドコモがどう動くかは注目に値する。

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