[Analysis]

ブティック型ベンダをショッピング

2006/08/29

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 ソフトウェア業界の大型買収が続いている。最近の買収の特徴はセキュリティ専業のブティック型ベンダが買収対象になっていること。買収を仕掛けるデパート型ベンダの狙いはサービスの「フルラインアップ化」だ。

 米IBMは8月23日、セキュリティ製品開発・販売の米インターネット・セキュリティ・システムズ(ISS)を買収すると発表した。買収金額は約13億ドル。ISSのセキュリティ関連ソフトウェア、サービスを自社の運用管理ソフトウェアなどに取り込むことが狙いだ。IBMはTivoliなど運用管理ソフトウェアの強化を続けている。ISS買収はセキュリティ関連の機能やサービスが、運用管理に欠かせない要素になっていることを印象付ける。

 IBMはプレスリリースの中で、ISS買収によってマネージド・セキュリティサービスが向上すると説明。「データの盗難、複雑化する規制基準の導入および管理への懸念など、企業の規模、所在地、業種を問わず、ITセキュリティへの取り組みは企業が直面している最も複雑な課題の1つ」としている。IBMは8月だけでISSのほかにエンタープライズ・コンテンツ・マネジメント(ECM)ベンダのファイルネット、資産管理ソフトウェアのMROソフトウェアを買収。ソフトウェアの拡充を続けている。

 米EMCが6月29日に発表した米RSAセキュリティ買収も、EMCが扱うストレージ管理ソフトウェアのセキュリティ機能向上が目的の1つ。従来オプション的な扱いだったセキュリティ機能は、ソフトウェアに必須の機能としてあらかじめ埋め込むことが当然になりつつある。データの生成から利用、破棄までの全体をライフサイクルとして安全に管理できることを求める企業の姿勢が背景にある。

 テスト、運用管理ソフトウェアの米マーキュリー・インタラクティブを約45億ドルで買収すると発表した米ヒューレット・パッカード(HP)。HPの狙いも、自社の運用管理ソフトウェア「OpenView」の対象エリアをソフトウェア開発まで広げる「フルラインアップ化」だ。ITシステムやビジネスにかかわる様々な課題をワンストップで解決したいと考える企業のニーズは強い。今後もフルラインアップ化を目指し、デパート型ソフトウェアベンダによるブティック型ベンダの買収は続くだろう。

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