[Analysis]

MNP戦争に先制パンチを入れたau

2006/09/05

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 モバイルナンバーポータビリティ(MNP)実施が10月24日に決まった。2006年秋にMNPが実施されることは大分前から決まっていたので、各社さまざまな取り組みをしてきたが、手数料は各社同額で横並びだった。

 MNP実施に向けて、キャリア各社は2006年春モデルや秋モデル、新サービスに力を入れてきた。auは秋モデルを過去最多の12機種を発表し、先制攻撃を仕掛けた。NTTドコモも今冬発売予定のFOMA903シリーズの用意を着実に進めている。一方で、各社が発表したMNP手数料は、仮予約特典の内容なども含めて3社横並びだった。

 発表された手数料は、転入時手数料は無料、他キャリアへの転出時手数料は2100円(税込み)で3社とも同額だ。また、MNPの仮予約キャンペーンでは、MNPを利用して転入する仮予約を行い、条件を満たす形で契約を行ったユーザーに対して2000円分のポイントを付与する特典も3社とも実施、これも横並びだ。

 auは8月末に行った新機種発表会でMNP対策を鮮明に打ち出し、12種類の新モデルを発表したほか、ユーザーが購入時に重視する「音楽」と「デザイン」を強化して前面に押し出してきた。サービス面でも、番組配信サービスやNTTドコモの「デコメール」に対抗する「デコレーションメール」など8種類の新サービスを発表した。

 KDDI au商品企画本部長 井上正廣氏は、「音楽ケータイやインターネット機能といったauに期待されている分野でさらに一歩先を行くサービスを提供する。また、ほかのキャリアから移行してきたユーザーが、いままでと同じように変わりなく携帯電話が使えるようにしたい」と新サービスの背景を説明した。

 auのこういった先制攻撃に対して、新モデルの発表が控えているNTTドコモとボーダフォン(10月1日からソフトバンクモバイル)にいまのところ大きな動きはない。しかし、キャリア各社は、キャンペーンでほかのキャリアよりも多額のポイントを付与するなど、金銭的な競争を避けた。これは、キャリアが端末や新サービスの魅力で勝負に出る意思表示だろう。auの先制攻撃に対するNTTドコモとボーダフォンの反撃次第では、勢力図に影響が出そうだ。

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