[Analysis]
“データをどう扱うか”が勝利の分かれ目に
2006/10/03
「増え続けるデータをどうするか」という問題に悩まされている企業は多いだろう。特にコンプライアンスの観点から、電子メールや履歴データの保存が義務付けられている業界や、セキュリティポリシーでそういった運営を決めた企業は日常発生する膨大な量のデータを保存し続ければならない。そのデータの活用方法として、DWH(データウェアハウス)が注目を集めている。
DWHとは、基幹システムや流通情報などのデータを1カ所に集め、集めた生データを加工し、情報分析や意思決定に使うためのデータベースやシステム。あらゆるデータを蓄積し、それを目的に応じてその都度加工するため、膨大なデータをいかに迅速に検索・加工できるかが重要となる。DWH自体は昔から存在するが、データ量の増加や、その重要性が上がってきた結果、その価値が見直されつつあるという。
DWHベンダのテラデータによると、顧客は流通業と金融業が多いという。ある飲料食品ベンダの場合、主な流通経路である小売店と自動販売機の売上データをDWHで分析し、マーケティングなどに活用しているという。特に、コンビニエンスストアや自動販売機で品切れを起こすわけにはいかないため、需要予測は頻繁に行い、高い精度も求められる。この点でDWHは非常に有効だとした。また、今後はRFIDを用いた商品管理の導入も検討しており、タグと連動した位置情報なども有効活用していくという。
金融業では、クレジットカードや銀行の与信業務などに活用されているという。例えば、あるクレジットカード会社の場合、DWHを導入したことでデータの分析能力が上昇。従来、決済部門や経営層のみが扱えていた顧客の決済データを、マーケティング部門や与信部門でも使えるようになったという。これに伴い、与信の判断基準をリスク重視の判断から利益重視の判断に変更し、リスクを抑えつつ収益性の向上に役立てることが可能になった。
テラデータの担当者は、「金融や流通など、データの活用方法が企業の競争力に直結するような業界では、『顧客情報をいかに多く集めるか』という点に加えて、『集めたデータをいかに有効活用するか』という点が今後重要になってくるだろう」と語り、データを集めるだけでなく、そのデータをどうやって加工し、戦略的に活用していくかが重要であると強調した。
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