[Analysis]

情報は流通してこそ価値がある

2006/10/17

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 シックス・アパートの代表取締役 関信浩氏は、企業ブログを取り巻く状況について、1990年代におけるインターネット普及の歴史と同じだと指摘している。1990年代はじめに個人がWebページを開設し、その後、企業が開設、イントラネットが普及し、個人向け電子商取引から企業間電子商取引へと発展した。2000年以降、ブログの普及も同様の経緯をたどり、現在はイントラブログが企業内に浸透し始めたころにあたるという。

 1990年代半ば、確かに企業は社内LANを構築し、グループウェアを導入して、社内のコミュニケーションとワークフローを管理するインフラ作りを積極的に行っていた。導入シェアが最も高かったのはNotes/Dominoであり、Notes/Dominoはグループウェアの代名詞的なポジションにあった。

 現在でも、Notes/Dominoは健在である。しかし、グループウェアというカテゴリ名が以前ほど積極的に使われることはない。いまでも企業内でしっかり稼働しているにもかかわらずである。

 イントラブログは社内インフラとしてのグループウェアのオルタナティブ(代替案)として登場した。もちろん、グループウェアの豊富な機能をすべて補完しているわけではない。むしろ、グループウェアでは実現が難しかった分野のハードルを技術面でクリアしたことで、市場に存在感をアピールした。

 ポイントは、社内に存在するであろう情報を可視化し、それらの情報の流通をスムーズにする仕組みが提供できたということである。情報は流通してこそ価値が生じる。ユーザーによる情報の発信と更新作業をいかに容易にするかは大きな課題だった。さらに、生成された情報を加速度的に増加させる仕組みとして、RSSやトラックバックといった技術がイントラブログの普及を後押しした。

 目的は社内の情報流通機構を整備することである。必ずしもイントラブログである必要はない。リアルコムはそう判断し、Notes/Dominoで蓄積された情報を流通させるためのミドルウェアを開発し、アドオンのアプリケーションを追加すればNotes/Dominoにため込まれ、流動性が低下していた情報が動き出す仕組みを提案している。

 社内に存在する情報とは、もともとは社員ひとりひとりの頭の中にあるものである。それらの情報が社内(そして社外)の人々の間で動き回ることで価値が生じ、ビジネスが生成されていくのである。イントラブログ、グループウェアが登場する前からコトの本質は変化していない。

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