[Analysis]
BIの注目度が再上昇中?
2006/11/27
企業内データの急増が叫ばれて久しいが、そのデータを有効活用する手段としてBI(Business Intelligence)が注目を集めている。日々蓄積されていくデータをストレージの肥やしにしないためのツールが数々登場しているのだ。最近では、BIツールとSaaSとの連携も試みられている。
BIとは企業内に存在するさまざまなデータをまとめ、分析・加工してビジネス上の意思決定に必要な知識や洞察を生み出すための仕組みだ。BIツールベンダには、コグノスやSPSS、ビジネスオブジェクツなどが挙げられる。各社によって強みは異なるが、各社が共通して目指しているのは、「企業内のあちこちに蓄積されながら、ほとんど活用されない膨大なデータをいかに戦略的な情報に変えることができるか」という点だ。
例えば、ある顧客Aの情報が営業が利用しているSFAにはアタックリストとして保存されており、経理部門のERPには売掛金データとして……、と部署ごとのシステムにさまざまな形式で保存されている場合が多い。部署によってシステムが違ったり、書式/表記が違っている場合には、データマートやデータウェアハウスに集約したとしても意味をなさないケースもある。
一方で、BIツールでより多角的な分析をするために、従来より多くのデータソースからデータを収集したいという要望も多い。従って、SFAやERPやCRM、SCMといった複数ツールのデータソースからデータを収集し、既定の書式に変更。データクレンジングやデータのマージを行ったうえで集約・分析することでBIにデータを引き渡した際のデータの正確性が格段と上がるというのだ。
BIツールベンダ各社は、この「BIツールにデータを渡す前処理部分」のシステム開発をしており、「複数のシステムからのデータを統合し、DWHやデータマートにひも付ける」ツールや、「仮想的にシステムのデータを統合し、リアルタイム処理を可能にする」ツールなどが登場した。ビジネスオブジェクツはセールスフォース・ドットコムと提携し、Salesforce.com上でBIレポートツールを提供するなど、SaaSに対応する動きも出てきた。
日本ビジネスオブジェクツ社長の印藤公洋氏は、「BIツールというと、経営層が意思決定のために、複雑なグラフを出すための道具と思われていることが多いが、実際には現場の営業が営業分析のために使ったり、マーケティングのために用いることも多い。まず、日本ではBIの使い方を啓蒙するところから始めて、一層普及させていきたい」と語っている。今後こういった啓蒙活動によって、企業内に眠るデータの重要性に気付いた企業が、このデータを有効活用する方法としてBIツールを導入するケースが増えると予測される。
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