[Analysis]

開発チームの姿とソフトウェアの姿は相似する

2007/11/05

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 Web開発の現場ではウォーターフォール開発は死にかけている。Webの新しい技術やサービスを見ているとそう思う。ユーザーニーズに応じて製品、サービスをスピーディに開発、投入。要望に基づいて柔軟に機能を追加し、修正する。Googleが採ったベータ版サービスの提供と継続的な開発(完成は重視しない)という手法は、その象徴だ。

 スピーディな開発を可能にする重要な要素はライトウェイト言語の採用だが、そればかりではない。RubyやPHPを採用していても硬直的な開発でユーザーニーズの変化についていけないケースは多い。

 「開発チームの姿は、開発するソフトウェアの姿と同一」。米アドビ システムズのプラットフォーム事業部 シニアバイスプレジデント兼チーフソフトウェアアーキテクトのケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏はこう語る。ソフトウェア開発が成功するかどうかは技術の問題ではなく、組織やコミュニケーションの問題に依存する場合が多い。

 リンチ氏はソフトウェア開発の生産性を向上させる方法について「小さいチームの方が生産性が高い」と断言する。「3〜4人の小さいなチームで、よいコミュニケーションを取り、連携しながら開発するのがベストだ」。アドビでは開発ツールや手法をチームごとに選択させているという。上からの押し付けではなく、少数精鋭のチームが自らが動きやすい形を選択する。

 アドビは統合ランタイムのAIRをはじめ、同社のこれまでのイメージを変革するような面白い技術、製品を相次いでリリースしている。Adobe Labsを開設してベータ段階のソフトウェアを公開し、フィードバックを集めている。アドビの変貌は日本のソフトウェアベンダも見習えるのではないだろうか。

 ベータ版のソフトウェアを公開するのは「早い段階で顧客やコミュニティに関与してもらう」ことを狙っている。もちろん、正式版のソフトウェアに重大なバグがあると責任問題になるが、検証目的のベータ版はバグ出し自体が目的ともいえるため、お目こぼしされるという意図があるかもしれない。それでも「目に見える形でコミュニティを巻き込んでいく」というアドビの戦略は成功しているようで、AIRについてはすでに日本のコミュニティも沸き立っている。

(@IT 垣内郁栄)

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