[コラム:Spencer F. Katt]
悪質化するスパム対策に一句?

2002/8/31


 アンチスパムの非営利団体「Mail Abuse Prevention System(MAPS)」の前法務担当ディレクター、アン・ミッチェル女史が、ハベアスというスパム対策専門の新会社のCEOに就任したというニュースは、吾輩にとってもうれしい驚きだった。

 ミッチェルは法廷でMAPSの孤軍奮闘を支えてきた法律の専門家だ。彼女が新会社でどのようにスパム防止に取り組むのか、非常に興味深く思った吾輩は、彼女に直接聞いてみた。で、彼女が語ってくれたところによると、その方法とは「俳句」と「法律」なのだという。

 現行の法律では、違法なスパムとそうでないスパムの定義があいまいだ。そのためミッチェルは、スパム一般の防止に著作権法の利用を考えた。

 簡単にいうと、ハベアスはユーザーに対し、送信メールヘッダに埋め込まれたワラントマークを提供する。このヘッダには3行の俳句(haiku)とその著作権、そして商標情報が含まれている。著作権が俳句を法的にカバーし、商標がヘッダの残りの情報をカバーする仕組みだ。このヘッダを不正に利用したり、悪用したスパマーに対しては、著作権法や商標法を根拠に裁判所に訴え、ペナルティや送信禁止命令を請求できるという。

 ハベアスのヘッダと既存のサービス(SpamAssassinやMail-Filtersなど)を組み合わせれば、ユーザーは合法的な電子メールを排除することなく、より厳重に、あるいは高度にフィルターの設定を行うことが可能になる。

 「この方法でオンライン医療ジャーナルなんかは、バイアグラに関する重要な記事が破棄されず、実際に購読者の元に届くことが確信できるようになるわけ」とミッチェルは説明する。「ハベアスのユニークな点は、問題を逆方向に解いたこと。つまり、スパムを特定するのではなく、必要なメールを特定することにしたのね」。

 先週設立されたばかりだというのに、ハベアスはすでに有力企業数社と契約を結んだという。その中には、マイクロソフトのWebTVや香港に本拠を置くメッセージング技術プロバイダのアウトブレーズなどが含まれるそうだ。また、同社のワラントマークは、メールフィルターズ・ドットコムのSpamCureやSpamRepellentなどの製品にも搭載される。

 ミッチェルによると、企業がワラントマークを利用する場合はハベアスにライセンス料を支払う必要があるが、バルクメールハウスなどに証明書を発行するアンチスパム会社などと異なり、個人ユーザーやISPはワラントマークを無償で利用できるという。

 なるほど、俳句とは考えたね。やはり最後には文明が勝利すると期待したいものだ……。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週末更新予定です

[英文記事]
As Spam Gets Worse, Seek Solace in Verse

Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.

Spencer F. Katt バックナンバー

 

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)