[コラム:Spencer F. Katt]
秋風のCOMDEXを盛り上げる予言者たち

2002/12/3


 先週は、COMDEXの主催者であるキースリーメディアが破産保護申請を行う可能性があるという発表で始まったものの、秋の展示会は何の問題もなく終了した。イベントは往年のにぎわいを取り戻したかのように、CEOたちのバラ色の予測と辛らつな評価、それに舞台裏のデモで埋め尽くされていた。

 まず最初にラスベガスの井戸端会議に興味深い話題を提供してくれたのは、ナショナルセミコンダクターのCEO、ブライアン・ハラだった。彼はハイテク業界が回復基調に転じる日を、ピンポイントで予測したのだ。それは2003年6月21日だという。

 彼は基調講演で、その予測は単なる当てずっぽうではなく、スタンフォード大学の教授が開発した景気循環論をベースとする複雑な計算式に基づいたものであり、科学的な根拠があると強調していた。

 一方、スコット・マクニーリの基調講演は、くすくす笑いで始まった。というのも、キースリーメディアのCEO、フレッド・ローゼンがサンの会長をこう紹介したからだ。

 「ホッケーリンクにいても、会社のベッドルームに……、じゃなくて、ボードルームにいても、だ。ははは。まあ、いいじゃないですか、ここはラスベガスだ」

 壇上に登場すると、マクニーリはいつものようにレドモンドに対する軽いジャブを忘れなかった。彼によると、現在、サーバ・アーキテクチャの選択肢は3つしかないという。「IBMか、サンか、あるいは32ビット”ローエンド”のマイクロソフトか」なのだそうだ。

 で、マイクロソフトの統合システム・ソリューションについては「ガチガチの溶接加工品だ」とバッサリ。返す刀でIBMの統合戦略は「統合不可能」とこき下ろした。それらに対して、サンの「統合可能」システムは、「あたかも”レゴ”のような環境だ」と、CEOは得意満面に説明した。とすると、一番重要なピースは、いつもソファーの下に隠れているのかな?

 ビル・ゲイツの基調講演は、いつものように自信に満ちたパソコンの未来予測だった。それによると、今後10年以内にデスクトップPCの世界でもテラバイト・レベルのストレージが一般化するそうだ。その話を聞いて、吾輩の隣に座っていた紳士はこうつぶやいた。

 「まあ、そうだろう。でも、そうなったとしても、ユーザーにマイクロソフトのアプリケーション・ファイルを選択する権利はないんだろうな……」

 しかし、時代は変わった。COMDEXだというのに、ラスベガスのホテルは空室だらけ、タクシーも空車が多かった。常軌を逸した派手なイブニングパーティを主催する企業もほとんどなかったし、酔っ払いが道路にあふれかえることもなく、ローカルサービスの人々も低調な客足に不満顔だった。

 ところで、ラスベガスで注目を集めた製品の1つは、ビューソニックが開発したリムーバブル・フラットパネル・ディスプレイの「Smart Display」だったけど、吾輩の心をがっちりつかんで離さなかったのは、現在開発が進められている新しいリモコン技術だった。それはユーザーがどこからでもコンピュータとテレビとDVDを瞬時に切り替えられるデバイスで、来年にも市販される見込みだという。

 いよいよハイテク・カウチポテトの時代が到来したかな。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Prognostication Still Thrives at Comdex

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