[コラム:Spencer F. Katt]
アメリカズカップはエリソンに任せて……

2002/12/17


 サンがマイクロソフトを相手取って起こした訴訟注1の行方を確認するため、ボルチモアに立ち寄った吾輩は、フレデリック・モッツ連邦地裁判事の優れた手腕にいささか強い感銘を受けた。ジョニー・カーソンとロス・ペロー注2を足して2で割ったような風貌の判事は、明らかに無能ではなかった。最初の発言こそナイーブな感じがしたものの、その後の核心を突く質問は実に見事だったね。

 しかし、その一方で、モッツ判事は法廷記者に長時間労働を強いた。実際、1人の不幸な女性記者は過労で倒れ、しばしの休息を願い出たほどだ。判事の法廷は午後8時まで続くこともまれではないらしいが……。

 その日、ボルチモアでは大雪の予報が出ていた。おそらく裁判所の門は、モッツ判事の審理が終了する前に閉じられるとみられていた。が、判事はそんなことなど一顧だにしなかった。

 「たとえ今夜帰宅できなくなっても、私は審理を続ける」と精力的な判事は胸を張り、必要であれば法廷をホテルに移し、民間の法廷記者を雇ってもよい、とまで言い切ったのだ。まったく法学者にしておくのが惜しいほどの情熱だな。

 それはさておき、吾輩の旧友が教えてくれたところによると、ワイオミング州のジレットという小さな町で最近、かなり古風な手口のインターネット犯罪が多発しているそうだ。つまり、犯人は他人の家に勝手に入り込み、そこにあるパソコンからインターネットにアクセスしているという。

 奇妙なのは、その泥棒がただ単にパソコンでインターネット・サーフィンをするためだけの目的で、近隣の家宅侵入を繰り返していることだ。で、明らかに被害者宅のパソコンは、ポルノサイトのメンバーシップを取得するために利用されており、自動的にそのサイトにログオンできるように再設定されているらしい。

 ジレット警察署に、侵入された家屋が何件あるのか問い合わせたところ、この事件を扱っている係官が1週間ほど戻ってこないので分からないとのこと。親類の家で張り込みでもしているのかな?

 南半球に住む吾輩の友人によると、アメリカズカップ・ニュージーランドを追いかけているヨットファンの間では、オラクルチームが再びラリー・エリソンを乗船させるかどうかに注目が集まっているそうだ。同チームはセカンドラウンドの初めに、キャプテンのラリーに代わってニュージーランド人のクリス・ディクソンがスキッパーとして参加した。

 ディクソン率いるオラクルチームは、チャレンジャー戦のベスト・オブ・セブン、クォーターファイナルに2番目に進出したが、いよいよ今週からセミファイナルがスタートする。伝えられるところによると、ディクソンはコミュニケーション能力とヨット上での優れた意思決定がクルーから高く評価されているそうだ。

 うーむ。いっそのこと、ニュージーランドのヨットはエリソンに任せて、ディクソンがレッドウッドショアの本社のかじ取りをすればいいかも……。

@IT編集担当注釈

(注1)2002年3月8日、サンはマイクロソフトを相手取り、独占禁止法違反の民事訴訟を起した。「マイクロソフトが独占的な地位を乱用して、サンとJavaに不利を招いた」とする2001年6月に下された連邦高等裁判所の有罪判決を受けたもの。


(注2)
【ジョニー・カーソン】
「ジョニー・カーソン・ショー(“The Tonight Show starring Johnny Carson”)」のホストとして有名なコメディアン。アメリカの古典ギャグ「フーズ・オン・ファースト (“Who's on First?”)」で、レーガン大統領を演じたジョニー・カーソンのおかしさは特筆もの。1992年に引退。

【ロス・ペロー】
1992年の「大」統領選に出馬し、「大」方の予想通り、「大」敗を喫した「大」富豪。やることなすことスケールが大きい。全米に巻き起こった「ペロー旋風」のアナーキーさを懐かしむ声もあり。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Judge Plows Through Forecasts of Heavy Snow

Copyright(c) eWEEK USA 2002, All rights reserved.

Spencer F. Katt バックナンバー

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)