[コラム:Spencer F. Katt]
オラクルにグリンチはやって来るか?

2002/12/25


 先週は、レース艇から姿を消したラリー・エリソンがチーム・オラクルに復帰し、アメリカズカップ・ニュージーランドの残りのレースに参加するかどうかが気にかかったけど、今週の関心事は、果たしてオラクルの本体に誰が残れるのか、ということだ。

 本コラムの執筆時点で吾輩が聞いたところによると、同社は今週中にも組織再編を断行し、追加的なレイオフを発表するという。

 でも、まあ、アメリカズカップで“エリソンはどこに行った?”ってことより、“シアトルの人々はちゃんとルールを守って行動するのか?”ということの方が大きな問題かもしれない。

 マイクロソフトの共同創設者ポール・アレンと米通信業界の帝王クレイグ・マッコーが出資したシアトル・ヨットクラブのエントリーチーム、ワンワールドは、他艇の設計上の機密を持っていたとしてペナルティを課せられた。先週、ワンワールドの1人のチームメンバーが、ニュージーランド艇の設計情報が書き込まれたZipディスクを所持していることを白状したのだ。まったくシアトルってところは……。

 そういえば、このところ景気が悪いからか、それとも製品価格が高すぎることに気がついたからか、マイクロソフトは最近、Windows XPの省電力機能を大げさに宣伝するようになった。先週も同社は、Windows XPにアップグレードすれば、低消費電力スリープモード機能のおかげで、PC1台あたり年間10ドルから50ドルのコストセーブが可能だと発表した。

 ソフトに250ドル出費すれば、電気代が年間10ドルも節約できるってわけだ。もっとも、吾輩はエコノミークラスで移動中、なるべく寝ているようにしているけどね、昔から。

 アイダホの冬景色の中でささやかれているウワサだけど、マイクロンPCは再興に向けた努力の一環として社名の変更を検討しているらしい。PCメーカーからサービス会社に転換した同社は、過去のCEOの言動にもかかわらず、そのルーツを見失うことなく、PC製造という古典的技術の確立に努めてきた。

 伝えられるところによると、マイクロンPCは3四半期連続の黒字を達成し、従業員に400ドル以上のボーナスを支給したという。社名変更計画が事実だとすれば、今年5月に「PCは死んだ」と宣言した前CEO、ジョエル・コウアーとの距離をさらに広げることになるだろう。それが正しい方向だと思うよ。

 それはさておき、ある筋の情報によると、シーベル・システムズの「Universal Application Network」の発表を受けて、ライバル企業も大慌てで独自のビジネス・プロセス・インテグレーション技術に取り組み始めたという。

 なかでもSAPやピープルソフトは、企業買収でキャッチアップを考えている模様だ。彼らのホリデーシーズンのショッピングリストには、Qリンク・テクノロジーズやフューゴ、メタサーバなどの名前が挙がっているらしい。

 うーん。吾輩が欲しいクリスマス・プレゼントは、そんなんじゃないんだけどね……。

@IT編集担当注釈

【グリンチ(Grinch)】
『The Cat in the Hat』で有名な絵本作家DR.Seussの童話の主人公。クリスマスが嫌いなGrinchは楽しいクリスマスが2度とやってこないよう、クリスマスを盗む計画を立てるが……。ロン・ハワード監督がジム・キャリー主演で映画化した。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Does the Grinch Plan a Visit to Oracle?

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