[コラム:Spencer F. Katt]
LinuxWorldでマイクロソフトがベスト賞……

2003/2/4


 みんなハイスクール時代にカウンセラーから、思慮深い助言をもらったことはないのかね……? 吾輩は先週、ニューヨークで開催されたLinuxWorldに出向き、そう思わざるを得なかった。というのも、メタ・グループへ向けられた疑念の声を耳にして、吾輩の脳裏に「集配業務のことを少し調べてみてはどうか」とアドバイスしてくれた心優しい進路指導のカウンセラーの顔がフラッシュバックしたからだ。

 IT業界のカウンセラーを自認するメタ・グループは先月、マイクロソフトが来年にも自社製品の一部をプロプライエタリ技術からLinuxへ移行させるだろう、とするアドバイザリーレポートをリリースした。しかし、展示会場で聞いたクライアントの反応は、レポートの信憑性に首をかしげるものばかりだった……。

 クライアントとのインフォーマルな情報のやりとりをベースにしたとみられる同レポートは、マイクロソフトがLinuxに移行させようとしている製品名を具体的に挙げるだけでなく、移行のタイミングまで予測している。

 で、業界関係者の憶測を呼んだのは、このレポートがリリースされてから2週間も経たないうちに、メタ・グループの共同創設者であるデール・カトニックが突然、チーフ・リサーチ・オフィサーのポストから降りたことだ。レドモンドの情報筋によると、マイクロソフトはレポートを「単なる憶測に過ぎない」として完全否定しており、カトニックの去就についても「いっさい関与していない」という。この問題で同社がメタ・グループに圧力をかけた形跡もないようだ。

 メタ・グループのスポークスマンは吾輩の問い合わせに対し、「レポートの内容は事実からそれほどかけ離れたものではない」と述べる一方、いかなる“顧客”からも苦情は届いていないと応えた。同スポークスマンによると、カトニックは引き続き会長職にとどまり、今後開催されるすべてのグローバルコンファレンスで基調講演を行う予定だとか。

 それはさておき、LinuxWorldの共同記者会見で、モルガン・スタンレーがグローバルエンタープライズ部門のトップであるジェフェリー・バーンバウムの発言内容に関して、同氏の事前承諾なしに記事化するのは止めてもらいたいと記者団に要求したことに、吾輩はいささかショックを受けたね。

 ウォール街のブローカーたちの言動は最近、しばしば批判の的になっているけど、少なくとも公開の記者会見場で報道の自由を抑制しようとする姿勢は、はなはだ疑問だ。報道は公園を散歩するのと同じくらい自由でなければならない。

 ところでLinuxWorldでは、別の世界に迷い込んじゃったのではないだろうかと思えるほどショッキングな出来事がもう1つあった。マイクロソフトがLinuxWorldにブースを構えたのみならず、あろうことか同社の「Services for UNIX 3.0」がベスト・システムインテグレーション・ソリューション賞に輝いたのだ。

 それを知った吾輩は、一瞬混乱した意識の中で、会場となったジャビッツセンターの集配窓口に求人募集はないかと、ふと考えたのであった。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Meta, Morgan Stanley All the Buzz at LinuxWorld

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