[コラム:Spencer F. Katt]
AOLに絡みつくナップスターの呪い?

2003/3/11


 音楽CDがいまにも廃れそうなことを伝えるレポーターはあとを絶たないが、「レコード業界のエグゼクティブたちは無能」というメディアの決まり文句を否定する声も少ない。しかし、AOLとロキシオがペイ・ツー・プレイ・サービスを開始するというニュースを聞いて、吾輩はインターネット業界のエグゼクティブたちがそれほど「有能」かどうか、ちょっと考え込んでしまった。

 はたしてペイ・ツー・プレイ&コピーは、2700万人のユーザーに受け入れられるだろうか、と多くの人々がAOLの新サービスに注目している。

 しかし吾輩は、新たに指名されたAOLのトップ、リチャード・パーソンズの言動をWebカメラでウォッチできるのであれば、むしろそっちのほうにそれなりの料金を払ってもいいと思うね。明らかに同社の経営陣は、AOLタイムワーナーのロゴからAOLの部分を取っ払いたいと思っているようだし……。

 一方、ロキシオのビジネスモデルは、一見したところ、プレスプレイ・タイプのサービスを昨年買収したナップスター・ブランドでラッピングしたように見える。で、同社は、新規に採用したシャウン・ファニングにプロモーションを任せる考えだ。ファニングが開発したオリジナルのP2Pファイル共有ソフトが含まれているわけでもないのに、ロキシオが新サービスの売り出しに彼を利用しようとする狙いは、洗車サービスに水着の女の子を採用して客を引き込もうって魂胆と同じだな。

 いずれにしても、ロキシオはラッキーチャームをたくさん用意しておくべきだろう。というのも、ナップスターにはまだ呪いがかかっているみたいだからね。最近も、ナップスターの生命維持をもくろんだドイツの複合メディア企業ベルテルスマンを相手取って、音楽出版社の一群が170億ドルもの損害賠償請求訴訟を起こしたばかりだ。

 この訴訟、原告団にロックンロール・ソングライターのビッグネーム、リーバー・アンド・ストーラーが参加していることでも知られるけど、きっとベルテルスマンは凶暴な猟犬に追い回される悪夢を見ているような気分だろうね。すでに同社からは、ナップスター買収に反対していたエグゼクティブたちが相次いで逃げ出しているという。

 それはさておき、IBM/チボリが昨年10月、リバティ・アライアンス・メンバーのアクセス360を買収したことは、同社への求愛を続けていたサンを思いっきり落ち込ませた。でも、ある情報屋の報告によると、どうやらサンはSun ONEイニシアチブのミッシングリンクを埋める別のID管理会社の買収に、このところ躍起になって取り組んでいるらしい。

 ところで、スパムコップ(SpamCop)を名乗る発信元から、Hotmailとワールドコムをハックし、打倒するためのボランティアと義援金を募る脅迫まがいの電子メールが届いても、絶対に信用してはいけない。スパムコップのトップ、ジュリアン・ヘイトによると、その電子メールはニセモノだという。

 ヘイトが吾輩に話してくれたところによると、スパムコップのドメイン名はスパムに悪用されることが多いそうだ。「スパムを信用させるために使われることもあれば、スパムコップの信頼を失墜させるために用いられることもある」(ヘイト)のだとか。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
El Gato to Aol Execs: What's in a Name?

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