[コラム:Spencer F. Katt]
真実はトラブルを招くだけ……

2003/3/18


 吾輩の旧友の話によると、長い間ウワサされていたEMCによるバックアップ・リカバリ会社、レガート・システムの買収がいよいよ現実のものとなりそうだ。ただし、レガートが買収計画に納得しなければ、最後の最後に椅子をけって出ていく可能性もあるらしい。でも、まぁ、大きなゲームでプレイしているときに、ボールをつかんだまま家に帰るなんてわけにはいかないだろうけど……。

 M&Aといえば、セキュリティ・プロバイダのエンターセプトは、ボールを家に持ち帰るチャンスも与えられなかったようだね。情報筋によると、エンターセプトは数カ月前、シスコとの間でひそかに身売り話を進めていたらしい。同社は以前からシスコとOEM契約を結んでいるが、交渉が不調に終われば契約を打ち切るつもりだったという。

 しかし、エンターセプトにとって不幸だったのは、チャンスをつかむ前に、シスコが同社の最大のライバルであるオケナを買収すると発表したことだね。

 それはさておき、大規模エンタープライズ管理システムの導入に対するユーザーの反発は、いまだに大きな問題のようだ。これも吾輩の友人から聞いた話だけど、あるコンサルタントがクライアントに、そのユーザー固有の問題を解決するソリューションがチボリにあると伝えたところ、間髪をいれず「ノー」という拒否反応が返ってきたという。数年前まで、チボリやほかの大手ベンダ製品は、システム導入の複雑さが問題となっていた。導入までに1年から1年半も要したからだ。

 が、その友人によると、ベンダ各社はその後、この問題の解決に全力を挙げて取り組んでいるのだという。例えばチボリなどは、ソフトのインストール作業を簡略化するために、数百万ドルも投じたそうだ。現在、同社の副社長は全員、自分自身で自社製品をインストールできなければならないのだとか。

 英ケンブリッジ大学の研究者グループがロンドンの最高裁判所に召集され、シティバンクのATMから不正に現金が引き出された事件に関して専門家として証言した。で、暗号研究者たちがシティバンクのセキュリティの脆弱性について法廷で指摘すると、同社は慌てて報道禁止命令を裁判所に求めた。偏執狂的なシティバンクは、以前に発行された研究者たちの論文さえも、その対象に加えようとしているらしい。

 それにしても、銀行が専門家に自行のセキュリティについてどう思うかを聞くのは、まるで「この水着だと太って見えるかしら?」と友人に聞くようなものだな。いずれの場合も、真実はトラブルを招くだけだ……。

 米議会図書館が先ごろ、www.politicalweb.infoというサイトを開設した。その宣伝文句が「初の“ボーン・デジタル”マテリアルのアーカイブ」というのだけど、なんだかねぇ。その“ボーン・デジタル”コンテンツって、選挙に立候補した政治家たちの古いWebサイトを寄せ集めたものなのだ。

 同図書館は最近、映画「スパイナルタップ」(架空のロックバンドをドキュメンタリー・タッチで描いたパロディ映画)の永久保存を決めたばかり。同じ組織とは信じられないね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Urge to Merge Plays on Like a Dirge

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