[コラム:Spencer F. Katt]
アースリンクにアースしてくれ

2003/5/27


 酒と取材と世間話に明け暮れた2週間の遠征も終わり、ようやく家にたどり着いた吾輩は、マイクロソフトが虚構のインターネット・トイレ「iLoo」の発表騒動で右往左往しているころ、自宅のトイレで幸せな気分に浸っていた。もちろん、うちのはずっと前からインターネット対応だ。

 旅行中に支払ったチップの合計を計算しながら、たまっていた電子メールと郵便物の山を片付けていると、いかにもアマチュア・ポルノのDVDが入っていそうな茶色の小包を発見して、ちょっとドキッとした。よく見ると、アースリンクから送られてきたポップアップ広告をブロックするソフトの無料試用版だった。わが家に送られてきた小包を隣家の人が垣間見て、吾輩と同じように想像しなかったことを祈るばかりだ……。

 ところで、SCOのダール・マクブライドは、自社の知的財産権を振り回し、Linux業界にとんだ災厄をもたらそうとしている。「だれかがロンドンの水道水にLSDでも放り込んだに違いない」と、業界関係者の1人は悪態をついた。しかし、SCOはマイクロソフトより巧妙にLinux陣営を分断しようとしている、と指摘する多くのインサイダーたちは、決して幻覚を見ているようには見えないけどね。

 吾輩は今回の旅行中、LinuxコミュニティがなぜIBMのような巨大企業を受け入れているのか、ようやく理解した。ビッグ・ブルーは、アパッチ・ソフトウェア・ファンデーションの共同創設者、ブライアン・ベーレンドルフのようなLinux指導者のアドバイスに、素直に耳を傾けるという。また、同社のLinuxテクノロジ・センターで働く人々は、オープンソース・エバンジェリスト エリック・S・レイモンドが書いた「伽藍とバザール(編集局より:山形浩生氏の訳を黙ってリンク)」もちゃんと読んでいた。

 「まぁ、書いてあることをすべて信じる必要はないが、少なくとも理解する必要はある」と、IBMのLinux部門を統括するエグゼクティブは吾輩に語った。同社は、Linuxコミュニティのようなアンチ・エスタブリッシュメント・グループと実にうまく付き合っている。異なる企業文化を持っていたロータスを傘下に収めたときの対応と比べると、ずいぶん変わったものだね。

 ある情報筋によると、「WebSphere Potal」はDomino/Notesに近づき、J2EEからは遠ざかりつつあるという。アプリケーション開発機能で勝るDominoが、結果的に優位になったと考えることもできる。とはいえ、IBMの販売スタッフにしてみれば、DominoやNotesを売るより、WebSphereやDB2を売った方がはるかに実入りがいいに違いない。IBMの営業はルイス・ガースナーの時代からロータスが“盲点”になっている、とDomino部門は以前から不満を漏らしていた。

 それはさておき、アースリンクのジャンクメールにはこう書かれてあった。「コンピュータで誘惑する女性なんて、どこか怪しい」

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
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