[コラム:Spencer F. Katt]
オープンソース・ランチはマイクロソフトにおまかせ

2003/7/8


 長旅から帰ってきた吾輩は、突然あるアイデアを思いつき、狭苦しいアパートメントの中をせわしなく動き回った。そうだ、キャンプに行こう! でもどこへ? 

 その日の夕方、吾輩はボストン・パブリック・ガーデンでコールドダック(スパークリング・ソーダ)のボトルを抱え、数ヤード先の池を行き来するスワンボートを眺めていた。足元のキャンプファイアでは、ボートのいとこにあたる鳥がこんがり焼きあがっていた。公園の周辺にはホットスポットがいくつかあったので、吾輩はWi-Fi対応のラップトップを起動し、今後予定されているコンファレンスをいくつかチェックしておくことにした。

 まず8月のリストをスクロールすると、SCOグループの「フォーラム・ワールドワイド・カンファレンス」がラスベガスである。これは外せないね。UNIXコードをめぐってSCOが法的手段に訴えたことは、いまや多くの人々の関心事だ。とりわけオープンソース界は、SCOの訴訟に激怒しているからな。

 それにしても、HPがどのような気分でMGMグランドホテルのウェルカム・レセプションのスポンサーを引き受け、戦略パートナーとして初日のキーノート・スピーチ(講演者未定)を行うのか、吾輩としても興味津々だ。なにしろHPのLinuxビジネスは今日、かなりの規模に拡大し、急成長を続けている。どういったスピーチが聞けるのか、いまからわくわくするね。パロアルトからは誰がやって来るだろう?

 食べ物と飲み物は常に吾輩のプライオリティ・リストの上位を占める項目だが、7月にオレゴン州ポートランドで開催される「オライリー・オープンソース・コンベンション」のカンファレンス・ランチは、マイクロソフトがスポンサーになっているものが多い。うーむ。オープンソース・コミュニティって、ベンダやプラットフォームに対して中立であるはずなのに、フリーフードでは圧倒的にマイクロソフト寄りだな。

 歯の隙間に刺さった羽毛を取り除こうと悪戦苦闘していると、池の向こうから空きビンが流れてきた。中に何か紙切れが入っている。ひょいと取り上げてコルク栓を抜き、紙切れを取り出すと、それは吾輩が懇意にする情報屋からのメモだった……。

 それによると、最近発表されたガートナーのレポートに、セキュリティベンダたちが激怒しているらしい。レポートの中で、侵入検出システム(IDS)ビジネスの死亡が宣告されているからだ。ベンダ側では、IDSのほとんどの機能をファイアウォールが代替すると予測したガートナーの初期のレポートも、ファイアウォールのマジック・クアドラント(ある業界や分野における企業のポジションを示すガートナーの分析指標)が批判を浴びただけだと反発しているという。

 大食漢の胃袋が十分に満たされたころ、スワンボートの方向から紙飛行機がゆらゆらと飛んできた。それもまた情報屋からのものだった……。

 そこには、テキサス・インスツルメントがインターシルの買収に乗り出すかもしれない、と書かれてあった。確かにインターシルのアプリケーションやチップセット、無線LAN技術が入手できれば、同社にとっては非常に大きなメリットになるはずだ。

 そうこうするうちに、ボストン警察の浮浪者対策チームがチャールズ・ストリートをこっちに向かって進んできたので、吾輩も早々に公園から撤収することにした。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Livin' off the land

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