[コラム:Spencer F. Katt]
オープンソース、MSのランチ、そしてスパイ

2003/7/23


 「オライリー・オープンソース・コンベンション」に出席するため、ポートランド・マリオット・ダウンタウン・ホテルに到着した吾輩は、そのとき猛烈に空腹だった。朝早く、飛行機に飛び乗ったあと、隣の乗客がくれたクラッカー以外、何も口にしていなかったからだ。

 ところが朝食のビュッフェ・ラインには、スクランブルエッグもソーセージもほとんど残っていなかった。「くそ、ケチったな!」と、吾輩はジャケットの胸に安全ピンで取り付けた薄っぺらな紙製のカンファレンス・バッチに悪態をついた。で、登録受付でカンファレンスの資料とTシャツを受け取ると、キャッシャーの方へ行くように指示された。参加費を払えというのだ。なんたる横暴! 吾輩は昼すぎまで空腹を我慢しなければならなかったというのに……。

 そんな空きっ腹の野獣の生命維持を保証してくれた源(オープンソース)は、太っ腹なマイクロソフトが提供するフリーランチだった。

 ところで今回のカンファレンスだけど、LinuxはUNIXの不正な派生OSだとして攻撃をしかけてきたSCOに対抗するオープンソース陣営の“戦勝祈願の踊り”か何かになるのではないか、と吾輩は期待していた。ところが、そうでもなかった。この問題を直接取り上げたのは、「SCO対LinuxのIP戦争」というテーマのセッションだけで、出席者の数もほかのセッションより少なかった。

 どこかでアンチSCOの罵詈雑言が聞けないかと探っていると、ロータスの創立者でオープンソース・アプリケーション・ファンデーションの会長、ミッチー・ケイパーを見つけた。彼は、「SCOの訴訟は、まさに疑うべくもなく、史上最低の卑劣な行為だ」と口を極めて罵っていた。元ヒッピーの旦那はまた、返す刀でメディアに対しても激しい非難を繰り広げた。吾輩や吾輩の同業者たちのSCOに関する報道は、何の役にも立っていないというのだ。

 「メディアは世論の動向を捻じ曲げるために、SCOにいいように操られている。今回の訴訟については、SCOがなんらかの証拠を提示するまで、もうこれ以上書くべきではない」とケイパーは吼(ほ)えた。吾輩はSCOの社長兼CEO、ダール・マクブライドにインタビューを申し込んだことを思い出し、まるでサダム・フセインとの会見が“利敵行為”だと非難されたCBSのダン・ラザーのような気分を味わうことになった……。

 一方、マイクロソフトは猛然とLinuxの脅威に立ち向かっている。ある筋から聞いた話だけど、レドモンドでは広告代理店のワゲナー・エドストロムにライバルOSを徹底的に研究するよう命じたらしい。ワグエドはポートランドにオフィスがあるので、コンベンション会場にも同社の社員らしき人々の姿が数多く見られた。

 しかし、まぁ、なんだね。彼らが「MySQLクエリ・オプティマイザを徹底解剖」とか「Kiva:Python用クロスプラットフォーム2次元ドローイングAPIについて」といったセッションに出席しても、どれほど役に立つかは疑問だけど。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
Microsoft feeds, then infiltrates, O'Reilly confab

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