[コラム:Spencer F. Katt]
マンハッタンに飛び交う企業買収情報
2003/8/5
タイムズ・スクエアの人ごみをかき分け、ブリーフ姿の“裸のカウボーイ”を避けながら、吾輩はタクシーを拾って52丁目の「21クラブ」へ向かった。BEAシステムズとブルー・タイタンが格式高い高級レストランで主催した懇親会を取材するためだ。
イベント会場には、ウォール街のソフトウェア・アナリスト、ベンダ、そしてプレス関係者がひしめきあっていた。もちろん、広い部屋のあちこちでさまざまなウワサ話が飛び交っていた。が、ブルー・タイタンがHPブランドに安息の地を得るだろうという情報が、果たして単なる酔っ払いの戯言なのか、それとも根拠のある推測なのかは、結局分からなかった。
それにしても、BEAは今後も独立性を維持していくと主張しているが、本当だろうか? ビル・コールマンが1995年にBEAを創立したとき、彼は妻に対して、利益の半分を学習障害者の支援基金に寄付し、友人のエド・スコット、アル・チャンを助けるために富を分け合うと約束した。だから、ディナーのゲストたちが憶測するように、BEAがWebアプリケーション開発プラットフォームを必要とする会社に身売りすることは、十分考えられるのだ。Webアプリケーション開発プラットフォームを必要とする会社といえば、現在活動しているすべてのテクノロジ系企業がそうではあるけど……。
イベント会場にいたウォール街の玄人筋は、オラクルがピープルソフトの買収をあきらめたとき、おそらく次はBEAに照準を合わせるだろう、と話していた。しかし、ラリー・エリソンは最近、どんなゴシップにも顔を出してくれるね。そういえば、ある筋から聞いた話だけど、エリソンはシーベル・システムズにもかなりご執心だとか。事実、シーベルの会長兼CEOのトム・シーベルは、エリソンが昨年、買収話を持ちかけてきたことを認めている。
まぁ、エリソン・ファンとしては、ピープルソフトのコンウェイとの乱闘より、偏屈なシーベルとがっぷり四つに組んだ戦いのほうが面白いかも……。
カクテルグラスからこぼれ落ちたオリーブの実を回収しようと、テーブルの下に潜り込んでいると、「IBMがATGを買収するかもしれない」というウワサ話が聞こえてきた。そういえば、両社は先月、Webサービスの統合化に向けて提携関係を強化すると発表したばかり。IBMにしてみりゃ、ATGに触手を伸ばすのはわけない。なにしろロータスと同じマサチューセッツ州ケンブリッジにあるからね。
さらにテーブルの下を徘徊(はいかい)していると、今度はシスコ・ユーザーの怒りの声が聞こえてきた。それによると、同社は最近発見されたIOSの欠陥を大手ユーザーに優先的に通知していたらしい。つまり、同社は大規模ISPやバックボーン接続業者などを優遇し、残りのユーザーへの通知を後回しにしたというのだ。
確かにそれは不公平だな。そうつぶやいて、フロアに置かれた装飾過剰な騎手像に手をかけて立ち上がろうとしたら、レストランの警備員が飛んできて、吾輩は問答無用で外へ追い出されてしまった……。
ホテルに戻ると、ある情報屋からジューシーなマックナゲットとともに伝言が届いていた。それによると、ビジネス・オブジェクツの社長、ジョン・オルセンは、最近のハイペリオンによるブリオ買収について、こう語ったそうだ。「ブリオを買収するなんて、2階から落ちてくる床を支えようとするようなものだね。マクドナルドのおまけのオモチャとブリオの株券、君ならどっちが欲しい? いまならほぼ同じ値段だ」
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です
[英文記事]
Manhattan Information
Transfer
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