[コラム:Spencer F. Katt]
とりあえず弁護士は全員デリートしよう!

2003/8/19


 吾輩はモスコーンセンター近くのホテルのバーに忍び込み、いつものやつを注文した。それからおもむろに周囲を見渡し、驚いた。なんだよ、オタク系とアンビュランス・チェーサー(救急車を追いかけ、被害者に無理矢理訴訟を起こさせる弁護士)ばっかりじゃないか……。

 どうやら両グループとも息抜きに一杯やりに来たようだ。オタクたちはLinuxWorldから、弁護士たちは米国弁護士協会のカンファレンスから流れてきたらしい。どちらも通りをはさんだ向こう側のベイ・エリア・バンカーで開催されていた。それにしてもその光景は、弁護士たちの魔の手に絡まれたLinuxの今日の状況を物語っているような、どこかうら悲しいメタファーに思えたね。

 それはさておき、先週、レッドハットがSCOを訴えたことから、LinuxWorldでは訴訟のゆくえが最も注目を集める話題となった。会場に詰めかけた人々が一番多く付けていたバッチも「Prove It(証明しろ)」というやつだ。もちろん、SCOに対する要求である。

 吾輩はバーの片隅で自分のBlackBerry――これ自体、法的論争を巻き起こしているが――をオンにした。すると、ある情報屋からのメッセージが届いていた。それによると、最近SCOに買収されたバルタスの従業員たちは、先を争うように船からダイブしているそうだ。一方、ワサッチ・レンジ(SCOの本拠地)に潜む吾輩のスパイによると、SCOが緊急時にしばしば雇うスーパー弁護士、デビッド・ボイズの姿は、ここしばらく見かけてないという。ユタ州でIBMがSCOを逆提訴したというのに、大丈夫なのかな。

 ホテルの部屋に戻り、未読の電子メールを整理していると、面白い情報が目に止まった。先週、サーベンス・オクスリー法(米企業改革法)準拠ソリューションを発表したコンテンツ管理ソフト会社のステレントが、まさに同じ日、それまでの5日間で4件目となる株主訴訟を起こされたそうだ。なんでも、新規設備の購入を延期したことや子会社への販売を収益に加えたことを顧客に報告しなかったなど、財務状況について誤った情報を流したとして訴えられたらしい。ステレントは、まず自社の不正について、新しいソフトのベータテストをやるべきだったね……。

 IBMとシーベルに関しては、山ほどウワサ話が飛び交っていた。そのうちの1つは、IBMがシーベルのアプリケーションを実行するホストベースのCRMユーティリティを提供する可能性があるというもの。しかし事情通は、「ありえない」と即座に否定した。マルチテナント実装に不向きなシーベルのアーキテクチャを考えれば、それは不自然だというのだ。しかし一方で、プライスウォーターハウスクーパース・コンサルティング(PwCC)の前CEO、スコット・ハーツが先週、シーベルの経営陣に加わった。彼は、昨年のIBMによるPwCC買収をお膳立てした張本人なのだ。

 吾輩は展示会場のIBMブースで、Linuxのペンギンを描いた金メッキのドブロン金貨を何枚か手に入れたのだが、ルームサービスが部屋のドアをノックしたとき、「これ、チップに使えるかな」と一瞬考えてしまった。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
First, let's delete all the lawyers

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