[コラム:Spencer F. Katt]
SCO版ワールド・イズ・ノット・イナフ

2003/9/2


 中には暑さに強い人もいるけど、クールな吾輩はエアコンなしでは生きていけない。だから今回の旅先アトランタでも、「ホットランタ」や「ロスト・ウェッジ」といったバーに入り浸っていた。「HP World」の主催者は、吾輩が無駄話を避けるために、ユーティリティ・コンピューティングやその対応企業について、心にもないお世辞を口にしたとき、きっと猛暑が吾輩の頭を直撃したに違いないと思っただろうな……。

 それにしても多少酔いの回っていた吾輩は、知らぬ間にジョージア・ワールドコングレスセンターの反対側のホールに迷い込んでしまい、ブロナー兄弟のヘア・ショーを半日ほど見学する羽目になった。このコラムを担当するセクション・エディタは、「ホット・シックス・オイル」とか「ブレイド・スプレー」といった新商品の特集記事を書いたら喜んでくれるだろうか、と考えながら、吾輩は夕暮れの街へ出た。

 僧侶(パドレス)が勇士(ブレーブス)を容赦なく叩きのめすゲームのチケットを関係者からもらったので、隣接するドームの招待席で観戦していると、ある情報屋が「HPはUtility Data Centerでシステムの迅速な統合化が可能になると期待しているけど、あまりうまくいっていないみたいだね」と教えてくれた。HPとコンパックのシステム統合では、どうやら電子メールが最大のネックになっている模様。欧州の旧コンパック・サイトでは、少なくとも先月末まで、HPのメッセージング・システムと電子メールの交換ができなかったらしい。

 フライパンからジャンプして火の中に飛び込むように、吾輩はアトランタから摂氏40度近い灼熱(しゃくねつ)のラスベガスへ移動した。「SCO Forum」を取材するためだ。HPが気を利かせてオープン・バーと大量のフリー・フードを用意していたのはうれしい驚きだったが、このイベントでそれ以外にHPの存在感がなかったことはそれほど驚きではなかった。HPは基調講演と質疑応答を辞退したらしいね。が、SCOと距離を置き始めた企業は、同社だけではない。

 吾輩はSCOのCEO、ダール・マクブライドに質問した。インテルがフォーラムの後援から手を引いたのはなぜか? マクブライドは顔を赤らめることもなく、「インテルはイベントのスポンサーを引き受けたことは1度もない。従って後援から手を引いたというのはあたらない」と答えた。SCOのマーケティング部門が勘違いしてインテルの後援を公表してしまっただけ、とダールは主張、イベントが始まる数日前にミスに気付いたという。

 そうですか。吾輩をさらにがっかりさせたのは、マクブライドがMGMグランドのステージに登場する前、彼の1日を描いたという映画を見せられたときだ。それは明らかにジェームス・ボンドが登場する映画の借用だった。マクブライドって、自分のことをヒーローだと思っているのかな? それともオープンソース陣営の怒りの炎に、油を注ぎたいだけか?

 一方、別にたいしたことじゃないよ、とでも言いたげに、SCOは“敵”から人材を引き抜いたことを発表した。LinuxベンダのSuSEで副社長を務めていたグレゴリー・ブレップが、SCOのUNIX資産のライセンシングを担当する部門であるSCOソースの副社長に就任したのだ。彼、新しい就職先が決まったことは、元の仲間の誰にも話さなかっただろうね。

*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です

[英文記事]
The world is not enough for SCO.

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