[コラム:Spencer F. Katt]
爆弾騒ぎに揺れたモスコーンセンター
2003/9/23
「Oracle World」が開催されたサンフランシスコ・モスコーンセンターの会場は、ドライアイスのスモークがあふれ、目もくらむばかりのストロボ光と真紅のレーザー光線が渦巻いていた。そのとき、吾輩の脳裏に何かがフラッシュバックした。そう、アース・ウィンド&ファイアのコンサートだ……。
黒に白抜き文字で「Grid Has Landed(グリッドがやって来た)」と大書きされたプラカードには、9つの白い四角形を囲むミステリ・サークルのようなデザインのマークが描かれていた。会場正面に駐車していた黒いミニバンには、「I believe(私は信じる)」という文字がギラギラと光っていた。サンフランシスコの街角に立つ黒服の案内係たちも、頭の上にミステリ・サークルを乗せていた。
オラクルは、まるでロズウェルで発見した火星人の新技術であるかのように、グリッド・コンピューティングを大々的に売り込もうという魂胆に違いない。
はたして同社のグリッド技術への取り組みが、企業グリッドの構築をどれほど促進するものなのか、あるいはHPやIBMが提供している技術とどう違うのか、特別捜査官のモルダーとスカリーを呼んで説明してもらいたいものだね。
それと、オラクルはローンガンメンでも雇って、ドライアイスで凍傷にならない方法を調べた方がいいかも。オープニングの基調講演会場の入口にいた警備員は、冷たいドライアイスのスモークに身体をブルブル震わせていた。
いずれにせよ、グリッド・コンピューティングは確かに魅力的ではある。80台のサーバが相互に連携し、パドリングでプールに浮かんでいるとき、そのうちの5台が沈んだとしても、別にどうってことはないだろう。多少負荷が増えるにしても、残りの75台は協力して緊急事態を乗り切れるはずだ。
ところが皮肉なことに、オラクルの分散データベース開発担当副社長のベニー・ソウダーが1台のブレード・サーバの横に立ち、来場者やジャーナリストに向かってエンタープライズ・コンピューティングの解説を始めようとしたとき、記者室は突然ブラックアウトした。なんらかの拍子に、会場に敷設されたインターネットの接続システムがクラッシュしたらしい。ラリー、お宅のプールにはちゃんと救命胴衣が用意されているんだろうねぇ?
それはさておき、基調講演でピープルソフトを徹底的に叩いたエリソンの暴言や、デルのプロモーション・ビデオに出てくるサーバ・ルームはサンのシステムで埋まっていると指摘したスコット・マクニーリの戯言も、水曜日の爆弾騒ぎですべてが吹っ飛んだ。モスコーンセンターに爆弾を仕掛けたという脅迫電話で、SeyboldやOracle Worldの来場者は全員、警官の指示に従って会場から一時退避する羽目になったのだ。
結局、爆弾は発見されなかったが、ホールの外に締め出されていたとき、吾輩は旧知のアナリストに近づき、それとなく情報を収集した。彼の話によると、警察と主催者側は、必死になって商談を進めていたダイハードなセールスマンたちにかなり手を焼いたらしい。最後には、1人ずつ引きずり出すようにホールから追っ払ったそうだ。実際、その話を裏付けるかのように、ベリタスの販売担当者が「検出、診断、修正(Detect, Diagnose, Correct)」と胸に書いた白衣姿でクリップボードを小脇に抱え、商談を成功させようと歩道をせわしなく走り回っていた。
彼らにしてみれば、販売成績の落ち込みも爆弾と同じくらい怖いものなんだろうね……。
*Spencer F. Kattのコラムは毎週月曜日(月曜日休日の場合は火曜日)の更新予定です
[英文記事]
The Kitty seeks
the real “nitty-griddy”.
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